佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 音楽 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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213 エルスネル 交響曲ハ長調作品11
    ショパン  ピアノ協奏曲 第2番

    シンフォニア・ヴァルソヴィア
    ゲオルグ チチナゼ 指揮
    イーヴォボゴレリッチ ピアノ

316 「ショパンの葬送」
    ショパン作曲 24の前奏曲より(オルガン独奏)
    ショパン/ヘルツィン 葬送行進曲(オケ版)
    モーツアルト作曲 レクイエム
    
    ミシェルコルボ 指揮
    シンフォニア・ヴァルソヴィア
    ローザンヌ声楽アンサンブル
    シャルロットミュラー ソプラノ
    V ボナール アルト
    C アインホルン テノール
    P ハーヴェイ バリトン




213 6年目にして初めてラフォルジュルネに出かけた。音楽のお祭りだった。確かにヨーロッパ的な。とても成功していて楽しかった。ホールAのでかい開場のS席は3000円。ネットでちょっと高く競り落とし買ったのだけれど、17列目という席だったので満足。
 会場に入ると、まだヴォゴレリッチがピアノを弾いていた。パッセージを弾くのだけだけど、誰かと話しながら、完全な私服で。そんなの観るのは初めてで、これも音楽祭ならでは。

 正直期待していなかったのだけれど、先ずはこのオケ。ポーランドのオケらしいのですが、とても良かった。エルスネルという作曲家はショパンの師匠に当たる人らしく、もちろん初めて聞く曲だけれど、曲よりもオケが誠実に情熱をこめて演奏するのに好感。チチナゼはグルジア出身だけれど、研鑽を積んだのはゲルギレフのところいうところで、聴衆を煽る音楽作りをするのでありました。

 ショパンの協奏曲はピアノを叩いているのではないかと思うほどの強い音や、逆に絹の様な流れ、極端に遅いテンポだったり、聞き慣れたテンポだったりと、イーヴォ節炸裂。それに楽譜見ながらの演奏ってのも久しぶり。この個性の固まりの様な演奏に、このヴァルゾヴィアというオケは憤然と対峙するのでありました。ぎりぎりのところで、音楽は均衡し、スリリング。アンコールは協奏曲の2楽章。こんなに個性の強い演奏を観客に提示できて、それもきちんと筋の通った演奏をするってのはスゴいね。
 楽譜を全部一から洗い直したわけで、従来の演奏のスタイルをゼロベースで考え直したってことだもんね。反発を覚える人もいるはずだけれど、僕も最初は何だこれ?と思ったけれどだんだんと引き込まれていったのだ。

 実は4月28日に来日していたフィラディルフィア管弦楽団の演奏会にアルゲリッチの代役で出演し、同じくショパンの2番協奏曲をデュトワの指揮でイーヴォは弾いているのだけれど、こんな風に演奏したのかな?ととても気になる演奏でした。この演奏会はひとつが45分と聞いていたけれど、実際は終わったのは4時少し前。90分の長丁場でした。

 213 東京国際フォーラム ホールA  2010年5月3日 14時30分開演


316 鈴木優人のオルガン独奏のあとに、葬送行進曲の弦楽合奏。そのあとで、コルボなどが登場しモツレク。あのどでかいホールAにも関わらず、掘り下げた音楽の魅力を満喫した。怒りの日なども音楽がうねる。昨日もきいたこのポーランドのオケが弦楽を中心に深い音を奏でた。
 コルボは以前からききたかった指揮者であるが、やっと聞けた。音楽をきく満足感に浸った。
 別になにも特別なことをしない。だからこそ、心の奥まで沁み入る音楽が底にあるのだ。

 316 東京国際フォーラム ホールA 2010年5月4日 21時45分開演
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シャルルデュトワ指揮

ストラヴィンスキー作曲
火の鳥(全曲)
春の祭典

アンコール
シベリウス 悲しきワルツ



 NHK交響楽団の首席指揮者もつとめた、日本でもおなじみのシャルルデュトワ。世界的な指揮者だ。個人的に僕が初めての海外のホールできいた音楽体験が、確か1984年のサンフランシスコ交響楽団の定期演奏会。そこでも「春の祭典」で指揮はシャルルデュトワ。モントリオール交響楽団での来日は何回もあるし、おそらくフランスのオーケストラでも彼の指揮できいているはず。
 今宵はデュトワの十八番のストランビンスキーを堪能する夜。

 それなのに、「火の鳥」全曲版は初めて聴いた。組曲は何度もきいているのに。
ストラビンスキーのこの曲の全貌がやっと分かったって感じだ。しかし、素晴らしいオーケストラである。最近は2流の演奏をきかせる来日組も少ないなか、べらぼうに上手い演奏をきかせた。上手いというよりも美味い演奏なのである。決して、巧いという感じでないのがいいなあ。
 フィラディルフィア管弦楽団は、ストコフスキーの君臨時代にアメリカを代表するオケとなった。1930年代に「ファンタジア」でディズニーアニメに登場して世界中のあこがれである。たしか、ディアナダービンの「オーケストラの少女」のそれも、フィラディルフィア管弦楽団?だよね。
 その後、ユージンオーマンディの時代となり、僕は彼の演奏を東京文化会館できいた。亡くなる直前の来日で、僕はその時のチャイコフスキーの交響曲4番のピチカートの美しさを今でも覚えている。後ろの方の席だったのに、一番前の隅っこが空いていたので、こっそり移ってきいたっけ。
 会場にはまだ若った頃の、ムーティがいた。休憩の時に僕が真っ先にサインをもらったら長い行列が会場にできてしまった。ムーティがその後、このオケを担うのだ。ムーティの演奏はきっときいていないのだが、その後のサバリッシュ時代はきいた。来日もあったし、ヨーロッパの音を出すのが不思議だった。ものすごく繊細な音を出すのだ。その流れが、今宵にもあった。
 力量で打ち負かす音楽でない、繊細で心の襞にふれる繊細な音楽をデュトワは作っていたのだ。
 木管だけでなく金管もそうなのだ。

 今宵は音楽をきく悦びがあった。しかし、会場に空席が目だったのは残念だ。だって、S席が3万円以上もしちゃしょうがないよね。デュトワならNHK交響楽団でも聞けるしくらいに思ったのかな。不況だから?とにかく残念だ。こんなに演奏を満員の観客で迎えられないのは。
 



こちらは、シャルルデュトワ指揮 NHK交響楽団の春の祭典 1987年の演奏です。23年前にもNHK交響楽団はこんなにハイレベルだったんです。確か僕も聞きにいった演奏会です。





2010年4月27日 サントリーホール
ヘルベルトブロムシュテット指揮
NHK交響楽団
ブルックナー交響曲第5番
ブロムシュテットはつい10年ほど前までは退屈な指揮者だと思っていた。シベリウスなどでいい演奏をすると思っていたけれど、音楽に魅力がないと思っていた。巨匠級の指揮者の音楽ばかりきく僕にとってはいまいちの人だった。それが、2007年5月に北欧を旅行した時にオスロでたまたまきいたコンサートの演奏でおったまげた。しばらく聞いていないうちにものすごい指揮者に変身していた!僕が分かっていなかっただけかも知れないが、それこそ巨匠の風格の音楽家になっていたのだ。個性を押し付ける指揮者ではなく、音楽をそのまま上質に演奏する。素晴らしい演奏家になっていたのだ。
 NHK交響楽団とのブルックナーの演奏でも、最初の一音から音に深みを味わいがあり、抜群のアンサンブルとテンポ感で80分の長大な交響曲を心から楽しんだ。
 ブルックナーは周到に準備され練り上げられていないと退屈してしまう音楽だ。音楽はまるで風や波のように繰り返し押し寄せるが、その変化は微妙で、その微妙な変化に悦びを見出さなくてはならない。単なる繰り返しではすぐに飽きてしまうのだ。アンサンブルがピッチをきっちし合わせ、その微妙な変化も揃って変わっていかなくてはならない。この音楽の魅力を生で初めて教えてくれたのはオイゲンヨッフムだった。2回の来日で、ブルックナーの7番と8番のシンフォニーをアムステルダムコンセルトヘボウ管弦楽団という世界のトップ5に入るオケや、バンベルグ交響楽団という頑なにドイツオーストリア音楽の原色を守っている交響楽団との演奏だった。次はウィーンフィルハーモニー管弦楽団/メータとの7番交響曲も良かった。無くなる直前にきいた北西ドイツ放送交響楽団とギュンターワントの交響曲第5番も名演だろう。2回も聞きにいって散財した。
 しかし、こうした名演に当たることは少なく、期待して聞いたスクロヴァチェフスキ指揮のザールブリュッケン交響楽団の来日公演の7番8番も退屈してしまった。早く終われ!って思った。先年聞いたウィーンフィルとムーティの交響曲第2番も良かったが感動というほどではなかった。
 聞いて良かったと思える演奏になかなか出会えないブルックナー。ましてや日本のオケでは到底無理なシンフォニーだと思っていた。ところが今宵のNHK交響楽団の演奏はとてつもないものだった。ウィーンフィルやシカゴ交響楽団といった超一流のオーケストラと一歩もひけを取らない名演である。このシンフォニーの良さを日本のオーケストラがここまで表現できたことにオドロキを禁じ得ない。それは、緻密なアンサンブルと一心になった音楽が生み出すものだった。それでいて木管の音色は個性的で、弦のしなやかな音はいいようもないオーケストラをきいている喜びがあった。
 最近のNHK交響楽団はものすごい。アンドレプレヴィン、シャルルデュトワ、クリストファーホグウッド、そして、ヘルベルトブロムシュテット。4人の個性の違う指揮者。ただ、名指揮者ばかりだが、その要求にきちんと応え、聞くものに音楽の悦びを味あわせてくれる。来日する二流オケは本当に聞く必要がないなあと思う。30年以上きいているオーケストラだが、これほどの充実ぶりがあるとは思っていなかった。高校2年の時、初めて聞いたプロムナードコンサート。小林研一郎なんかが指揮をとっていたけれど、弦はざらざら、金管はひっくりかえりまくりで、これが日本一なのかと思ったものな。全く違うオケに成長しました。すごいなあ。
 音楽をきく悦びがNHK交響楽団にはある。今シーズンはこれで僕はもうきかないのだが、来シーズンの定期会員も継続しようっと。

 下の動画は、ブロムシュテットがドイツのライプチヒゲバントハウス交響楽団という超一流のオケを指揮した映像です。曲目は今宵と同じブルックナー交響曲第5番。フィナーレ、第4楽章が納められています。今宵のNHK交響楽団の演奏はこれに一歩もひけを取らない名演でした。テレビ収録がされたので、放送の時にはぜひ見て下さい。聞いて下さい。
 


ブロムシュテット指揮のブルックナー交響曲第5番第4楽章冒頭 
ライプチヒゲバントハウス管弦楽団 会場はサントリーホール

続き

お疲れさまでした。
2010年4月22日 サントリーホール
マウリツィオポリーニ コンサート
オールショパンプログラム
2つの夜想曲/24の前奏曲/バラード1番/スケルツォ1番/12の練習曲/アンコールは革命の練習曲ほか3曲

このプログラムとほぼ同じものを日本でもやっているはずで、ビデオの曲は当日冒頭で弾かれた夜想曲の2曲目。ポリーニの演奏は20年以上も聞いている。東京でもロンドンでもニューヨークでもきいてきた。若い頃の磨かれた音の洪水から、近年は枯れてきて円熟な感じがしてきた。きっとポリーニは円熟しないのだと信じていた若い頃の僕の予想は見事にはずれた。老いるということはそういうことなのだ。この日は日曜の午後にカネーギーホール満杯の客。それでも足りなくて舞台上に120席あまりの客席を作ったくらい。当代一のピアニストの演奏をききにきたわけだ。
 後半になると若い頃の演奏に近くなったように感じた。特に練習曲はドライブ感と音に磨きを書けていく若い頃のポリーニのようだった。一度、NHKホールの最前列のど真ん中でヴェートーヴェンの熱情などのピアノソナタの夕べをきいたことがあるのだがうんうん唸りながら、弾いている姿が忘れられない。高校生の時に同級生の国平君とよくポリーニの真似をしたものだ。顔をぐしゃぐしゃにして弾くのが特長だったのだ。もうそんなことはないのだけれど、あの唸りはいまだ健在なのかな。
 カーネギーホール、最近はおとなしい。昔は本当にきらびやかなプログラムばかりだったけれど、最近は聞きたいものがほとんどない。ニューヨークでカーネギーホールに来るのって何年ぶりだろ?前にきたのは昼間に若い楽団にマイケルティルトーマスが教えるっていう奴で小さなホールだった。それをのぞくと10年以上前なのかもしれないなあ。
 カラヤン/ウィーンフィル。ショルティ/ウィーンフィル。内田光子/クリーブランド管弦楽団。フィッシャーディスカウ/シノーボリ/フィラディルフィア管弦楽団。ポリーニ/アバド/ヨーロッパ室内管…。スゴかったなあ前は。。。。



2010年4月18日 カーネギーホール(ニューヨーク)
マリスヤンソンス指揮
バイエルン放送交響楽団

11月11日
ドヴォルジャーク作曲 チェロ協奏曲 独奏 ヨーヨーマ
ワーグナー作曲    管弦楽名曲集「タンホイザー」序曲「ワルキューレ」ワルキューレの騎行
   「神々の黄昏」ジークフリートのラインの旅 葬送行進曲
 ヨーヨーマをきいたのは何年ぶりだろう。20年ほど前には普通のチェリストとして気軽にきけたのに、彼が出るだけでチケット代が1万円も高くなる。ロストロポーヴィッチよりも、マイスキーよりも高いチケ代のチェリストって>>と思っていたわけです。しかし、何年も前からヤンソンスを現存する数少ないマエストロとして溺愛している僕は、もう選択の余地はなかった。ベルリンフィルのチケ代だよなこれは?と思いながら出かけた。何か金の話ばかりで恥ずかしい。
 先日のウィーンフィルでもソリストはランランで欧州でも大人気だという。何でも音楽界では中国人ブームだ!という人もいるくらいだ。それほど中国人アーチストの台頭はスゴい。何であろう?そんなことも思いながら聞いた。
 ヨーヨーマの節回しには、東洋人独特の間合いの美学があって、旋律の唄わせ方があって、それが受けているのではないかと感じた。欧州の伝統を学び尽くしたあとに、自分のルーツのエッセンスを注ぎ込む。それは魅力的な音楽になるだろう。オケも良かったけれど、やはり今宵の曲作りに新鮮さを加えていたのはヨーヨーマだった。誰にも好かれるステージングマナーも含めて、多くの人が聞きたがるのも良く分かった。
 とにかく会場を席巻し、アンコールもバッハの無伴奏を2曲やったものだから、後半は大変だった。ヤンソンスはスケールの大きいワーグナーを聞かせるのだけれども、客は前半で体力と感性を使い果たして気もそぞろなので、すっかりつけたしの感じ。
 すっかりヨーヨーマナイトとなった今宵の演奏会でした。


ライプチヒゲヴァントハウス管弦楽団 来日演奏会
指揮:リッカルドシャーイ

曲目
10月27日 モーツアルト作曲   バイオリン協奏曲3番
       マーラー作曲     交響曲第1番「巨人」
  バイオリン独奏 アラベラ美歩シュタインバッハー

11月2日  メンデルスゾーン作曲 交響曲第3番「宗教改革」
       ブルックナー作曲   交響曲第4番「ロマンチック」
      




 このオケを初めて聞いたのは大学生の頃だから、もう25年以上前になる。まだ東側の頃で、確かクルトマズア指揮できいているはずだ。その時の印象を聞かれてもなにも覚えていたいのだが、ドイツのオケだなあという印象くらいがあったのだと思う。きっとベートーヴェンやブラームスをきいたはずだ。そして、今回、イタリア人のスター指揮者、シャーイの演奏で聞いたそれは、世界最高峰のアンサンブルと表現力を備え、指揮者の明るい輝かしい音作りの導入もあり、見事は21世紀のインターナショナルなオケになっていた。それも最高峰である。
 宗教改革をこれほどまで退屈せずに聞かせてもらった。明るくリズムは弾む。
 マーラーの第一交響曲で聞かれるボヘミア的なメロディもあくまでも美しいメロディとして演奏され、何かそこに深い精神的なものを追求しようというような張りつめた空気はない。むしろ、高度な演奏をするための集中力の高まりを感じられた。明るく輝かしい合奏の頂点だ。
 ブルックナーも同じで、極端に遅いテンポで絶妙に変わって行く楽想の変化を丁寧にきかせてみたりする面白さがある。しかし、何かシャーイの個性を無理矢理だすためにやってんじゃないか?と思うくらい極端なのだ。もうちっと絶妙なバランスってのがあるのではないか?と思ったくらい。
 
 いづれにせよ、2回とも素晴らしい演奏会であったことは間違いない。昨年だと思うがシャーイの急病で来日が中止になった演奏会の穴埋めということもあるのだろう。世界最古のオケは今風の明るい近代的で高技術なオケに変身していた。そう、シカゴ交響楽団のイメージかなあ。

2009年10月27日/11月2日
サントリーホール
ズビンメータ指揮
ウィーンフィルハーモニー管弦楽団

17日 
バルトーク作曲 管弦楽のための協奏曲
ベートーヴェン作曲 交響曲第7番

 二つの曲が終わってからシュトラウスのワルツとかポルカとか2曲。アンコール。休憩後から隣に座った某BS社の編集者で音楽好きはメータには中身がないみたいなことを言っておられた。15日のRシュトラウスもきいた。良く鳴るんだけど中身がないって。中身のない音って何だろう?高い精神性を感じさせてくれる音って何だろう。何となく分かっているようで分かっていない。バルトークは難曲をウィーンフィルの名人芸で聞かせてくれたが、確かにベートヴェンは物足りなさを感じる。それよりも数日前にホグウッド/N響できいたベト7の方がいいような。
 アンコールの曲の方が(特に1曲目)オケが活き活きして聞こえる。それは精神性なのか?自発性じゃないのか。気持ちがなくて、こういう音って聞けない物なのか?そんなことをいろいろと思った。

25日
ハイドン作曲 交響曲104番「ロンドン」
ショパン作曲 ピアノ協奏曲第1番 ピアノ;ランラン
Rシュトラウス作曲 英雄の生涯

 ロンドンを無難にこなしたあと、ショパンはメランコリックに弾きまくるランランにウィーンフィルがやられていたような。。。音色は美しく、表現にも独自の物があるけれど、あれってリズムを動かすといった禁じてはやっていないのか???古くはルービンシュタイン、アラウ。近年はポリーニ、アルゲリッチ、ピリス、内田と名演のCDに慣れて来た自分は才能を感じながらも戸惑った演奏だった。Rシュトラウスはウィーンフィルの技をきかせてくれて、メータは自分を出すというよりもオケの自発性を整理するという感じの指揮で。こういう演奏にきっと伝統が生きず組んだろうな。今回のメンバーは相当若手中心らしく、コンマスに女性がいたりとしたのだけれど。ぶれない伝統。特にアンコールはもう渦。ショパンでランランに花束渡して後半きかないカリヤザキさん。びっくらでした。



2009年9月17日/25日
サントリーホール
ポリーニポリーニ


 現代最高のピアニストの来日。もう何回聞いたんだろう。日本で、ロンドンで、ニューヨークで。
10回じゃきかないし、もう20年以上聞いている。そのピアノ道のスゴさ。年齢を重ねて来たので一回一回が貴重です。

 曲目 シューマン/ピアノソナタ第3番  幻想曲ハ長調 作品17
    シェーンベルグ/6つのピアノ小品 作品19
    ウェーベルン/ピアノのための変奏曲 作品27
    ドビッシー/6つの練習曲(練習曲集第二集)

 アンコール 
    ドビュッシー: 前奏曲集第1巻から 沈める寺
    ドビュッシー: 前奏曲集第1巻から 西風の見たもの
    リスト: 超絶技巧練習曲集から 第10番ヘ短調


 前半にシューマンをおき、後半には、シェーンベルグ、ウェーベルンなどの現代曲をはさみ、最後にドビッシーで締めるという曲目。アンコールも沈める寺やリストの超絶戯曲などを配し素晴らしい演奏会だった。
 この人のスゴいところは、一番魅力的に聞こえるのがシェーンベルグやウェーベルンになってしまうところだ。もちろんシューマンやドビッシーもいいのだが、現代の12音階のともすれば難解な曲が美しい光沢に輝く現代の名品。そう、美術は現代の不可思議な作品も受け入れる現代人なのに、何で音楽はだめなのだろうと思う。そして、ポリーニはその本質を見事にとらえ、我々に曲の魅力をあますところなく伝えてくれるのだ。
 シューマンについて思ったこと。ポリーニといえば、すごく音の粒が際立ち、素晴らしい音を奏でるイメージなのだが、そういったものがすっかり影を潜め、音楽の本質に迷わず向かって行く、音の面白さや魅力だけでなくフレーズや音楽の構築の面白さ、魅力に迷わず向かって行く造形の深さを感じさせた。もちろん、そうはいっても音自体の魅力も兼ね備えているのだからスゴい。
 空前絶後のピアニストの次の来日をまたまたまたまた楽しみにするばかりである。


 2009年5月19日
 サントリーホール


ファビオルイジ指揮
ドレスデン国立歌劇場来日演奏会
リヒャルトシュトラウス作曲「ツアラトゥストラはかく語りき」「アルプス交響曲」

ドレスデン

 ルイジの指揮での演奏を初めて聞いたのはもう10年以上前だろうか。スイスロマン度管弦楽団の来日演奏会の横浜公演で、テレビの仕事も兼ねていた。当時から未来の巨匠と言われていたが、その時の印象はあまりにも薄かった。それがオペラハウスとの来日で印象が変わったのだ。ドレスデン国立歌劇場は、近年ではジョゼッペシノーポリのワーグナーやリヒャルトシュトラウスの色彩あふれる名演で記憶があるし、それ以前の来日では、社会主義時代も含めてブロムシュテットなど手堅い指揮者がシェフを勤めて来た。
 それと比較して、ただの感想でしかないのだが、往年のオーケストラの黄金期が再び興隆しようとしている印象を受けた。ファビオルイジは、何か強い個性を使って作品に新しい視点を聴衆に提示しようというのではなく、偉大な作品をそこにただ存在させることに全力を傾けているように思える。
 そして、それにオーケストラが応えていた。弦の分厚く美しいハーモニー。管楽器は吠えるし唄う。ファビオルイジのそういった音楽をきいていて、僕が過去の巨匠と結びつけたのはカールベームだった。淡々と美しい音楽を奏でる姿はまさに最高の技工士になる感じがしたからだ。


サントリーホール
2009年5月1日
セミヨンビシュコフ指揮
ケルン放送交響楽団
田村響 ピアノ



ブラームス作曲 ハイドンの主題による変奏曲
モーツアルト作曲 ピアノ協奏曲第23番
ドヴォルザーク作曲 交響曲第8番

 ビシュコフを最初にきいたのは1991年のパリ管弦楽団との来日演奏会で、「ファウストの劫罰」を聞いた時だった。巨大で華麗な音楽をどかーと操る腕に、なるほどカラヤンの影響を強く受けているなあと感じたものだ。ロシア系の指揮者である。
 しばらく聞く機会がなく、2001年の5月にウィーンに出かけた時に、ウィーン国立歌劇場で「トリスタンとイゾルデ」を聞かせてもらった。この曲は今年のパリオペラ座の来日でもビシュコフの指揮できけた。山ほど演奏会に行っているので、他にも聞いているかもしれないが、すぐに思い出すのはこれくらい。全部巨大な作品ばかりなのだ。そして、それが素晴らしい。ワーグナーがとても良かったのを忘れない。
 例えば、この1年の彼の活躍の場を見ると、ミュンヘンフィル、シカゴ交響楽団、ロイヤルオペラでの「ローエングリーン」、パリオペラ座での「トリスタン」。そして、このWDRケルン放送交響楽団が中心だ。そして、他のものと比べると明らかにこのオケは格が落ちる。今日も最初のブラームスなどをきいていると、この数ヶ月きいたオーケストラの名演と明らかに差があって、がっくりしてしまう。ブラームスなどは明らかに自分の集中力が切れてしまった。ケルン放送交響楽団の来日は今までも何回かあって、大した記憶がないのだ。正直ドイツの二流オケである。バンベルグやゲヴァントハウス、北ドイツ放送といったドイツの無骨な音をきかせてくれるドイツ節の特長もあまり感じさせてくれないし、ベルリンフィルのように国際的な洗練さもないどっちつかずのオケなのだ。
 わざわざ来日演奏会を聞く価値がどれだけあるのかなあと思った次第。それでもビシュコフが聞きたくて出かけた。聞いていて思ったのだが、ビシュコフは指揮で団員を鼓舞するのだが、団員は結構冷めていて、反応が薄い。そして、何か守りの演奏ばかりしているように感じた。特にブラームス。解放された自由に流れる音に感じられないのだ。第一バイオリンなどはひ弱な音しか聞こえて来ない。
 ブラームスよりは、アマチュアオケにも取り上げられることのあるドヴォルザークは、ずーっと良かった。管楽器はちょっと哀愁込め過ぎだと思うくらいに泣く音を出す人もいてちょっと驚いたし、ちょっと曲自体にどよんとする場所のある2楽章などは緊張感が薄れるのだが、全体的にはいい演奏だった。モーツアルトもオケとしての難しさはない。これもきちんと聞けた。そしえ、昔の日本人のようなステージングマナーの田村さんが、音楽でもそのまま無骨な演奏を聴かせてくれた。今の若いピアニストにとって技術的には何ら困難な場所のないモーツアルトだけに、音の一粒一粒が厳密に聞かれてしまうピアニスト泣かせの曲である。下手な情感を込めたり、テンポを動かさず、音楽の奥にある美しさをそのまま誇張せずに再現してくれればいいなと思っていた。やりたくなってしまうもののだ。色づけを。しかし、この若いピアニストはそういうところがなかった。ちょっと無骨すぎるぞと思うくらいの抑えた演奏で、大好きなバックハウスのモーツアルトのようだった。
 田村さんはメンデルスゾーンのソロを、オケはブラームスの舞曲を2曲アンコールにもってきてくれた。めちゃ忙しいときに出かけて聞く価値があったのかと言われると、うーんないですねと言いたくなる演奏会。悪い演奏ではないが、わざわざ外国にまでやってきて披露する価値があるのかと言われれば、ない。特に東京には素晴らしいオケが山ほどあるのだから。
 地元の人たちに、地元のホールで、主に定期演奏会の会員によって毎月聞いてもらう、そう、コーヒーとか、パンのように毎月毎月聞かれていればいいオケなのである。

 ビシュコフは音楽家成功すごろくの中で上手く立ち回り、回り道せずに頂点に駆け上がっていきそうな人ではない。ちょうど、録音メディアがビジネスとして成立しなくなった時でカラヤン流のビジネスモデルが通用しなくなった時の人だということも関係しているのかなと思う。しかし、今日の指揮ぶりと結果をみていてやはり一流の指揮者だということも再認識した。そして、この二流オケを合格水準まで導いたのだからいい指導者でもあるのだろう。

 さて、ビシュコフは2010年の2月に少なくとも6回の演奏会をNHK交響楽団と行う。日本のオケを振るのは初めてのことだろう。しかし、ケルン放送交響楽団よりは格段に技術的にも柔軟性にもとむNHK交響楽団だけに、その組み合わせがどのような結果をもたらすのかとても楽しみになった。
 今回の来日で細かい演奏曲目なども最終的に決定されたであろう。楽しみだ。僕にとって、今日の演奏会は、NHK交響楽団との演奏を比較するにはいい体験だったかもしれない。 


サントリーホール
2009年3月5日

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HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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