佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 映画 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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監督/降旗康男
出演/高倉健、田中裕子、佐藤浩市、ビートたけし、綾瀬はるか、三浦貴大、余貴美子、大滝秀治


「あなたへ」は高倉健の遺作になって欲しくない。
6年ぶりの高倉健主演の映画として話題だ。
いい日本映画である。でもこの手の映画はもう山ほどある。高倉健は80歳を超えていていつ遺作になるのか分からないのである。どうかもっと深い、もっと突き抜けた映画に出てもらいたい。手法は昭和。話は広がらない。出演者はみんないい人。犯罪者までいい人なのだ。高倉健が出るのだ。廻りはもっと彼に演技者として高いハードルを用意すべきである。疲れた観客が癒されるにはとてもいい映画だろう。特に団塊の世代以上が見て、ああ良かったという良質な日本映画がないからなおさらである。でも、この映画は例えば小津映画を凌駕してないし、70〜80年代の「幸福の黄色いハンカチ」と比べたら映画としての魅力は限定的ではないだろうか? 2012年11月13日
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監督/アダムシャンクマン
出演/ジュリアンハフ



トムクルーズの起用で大成功!
相当面白かった。ロックミュージカルの映画化で失敗作の多い舞台ミュージカルの映画化では成功した。その一番の要因はトムクルーズなのである。ヤク中で自堕落でナルシスな伝説のロックスター役にぴったりでもう何も言えないのである。脇役に廻ったトムクルーズは、見事な存在感を見せる。他のトムクルーズ製作の俺を見ろ映画のつまらなさと比較するとトムクルーズも俳優として面白すぎる。トムクルーズも脇役なのに、旨く仕事をチョイスした。この人まだまだ落ちて行かないぞ、と思ったよ。
2012年9月28日
MONSIEUR IBRAHIM ET LES FLEURS DU CORAN
出演 オマー・シャリフ (Monsieur Ibrahim)
ピエール・ブーランジェ (Momo)
ジルベール・メルキ (Momo's Father)
イザベル・ルノー (Momo's Mother)
ローラ・ナイマルク (Myriam)
イザベル・アジャーニ(The Star)
監督 /脚本 フランソワ・デュペイロン
脚本/エリック=エマニュエル・シュミット

宝物のような小さな映画
観光客では知らないフランスのパリとイスタンブールなどのトルコ。その片隅で暮らす人々の暖かい交流。異文化同志の幸せな邂逅。現実の社会ではなかなか起きないけれども映画ではそういう夢を見せてくれる。名優オマーシャリフが本当にいい味を出している。心が荒んだときにまた見ようと思う。
2012年7月22日
金子修介脚本監督
2012年7月7日
監督 マーク・ウェブ
脚本 ジェームス・ヴァンダービルト

アンドリュー・ガーフィールド (Peter Parker / Spider-Man)
エマ・ストーン (Gwen Stacy)
リス・エヴァンス (Dr. Curt Connors / The Lizard)
キャンベル・スコット (Richard Parker)
マーティン・シーン (Ben Parker)
サリー・フィールド (May Parker)
デニス・リアリー (George Stacy)



2012年7月1日@渋谷東宝シネマ
出演
渥美清 (車寅次郎)倍賞千恵子 (さくら)
淡路恵子 (マダム)下絛正巳 (車竜造)
三崎千恵子 (つね)太宰久雄 (社長)
佐藤蛾次郎 (源公)吉岡秀隆 (満男)
前田吟 (諏訪博)笠智衆 (御前様)
関敬六 (ポンシュウ)イッセー尾形 (馬場)
武野功雄 (巡査)笹野高史 (車掌)
マーチン・ロシュバーガー (ヘイマン)
柄本明 (坂口兵馬)竹下景子 (江上久美子)
監督 山田洋次
脚本 朝間義隆/山田洋次


「男はつらいよ。終わりの始まり」
 平成元年消費税導入元年の年の夏に公開されたシリーズ第41作である。前から観たかったのだが、買ったまま観られなかった。ここでの寅さんは、タコ社長と喧嘩もしないし、竹下景子を愛したとしても自分から積極的にドンドン行くわけでもなくいつもにもまして受け身である。それは映画全体でも言えて、柄本明や、淡路恵子が非常に積極的な演技で攻めるのに対して、渥美さんはどこか違う。
 この作品が最後のお盆映画ということらしい。このあと、寅さん映画は正月のみになる。きっと渥美さんの肉体のことを考えてのことではなかったのだろうか?いろいろのことを考えると、「男はつらいよ」の終わりの始まりだったのかもしれない映画だ。竹下景子に寅さんは惚れるのであるが、竹下の方は寅さんを男してはほとんど意識していない。寂しい恋である。冒頭は松島なんかも写り、最後には関敬六と啖呵をきっての物売りシーンなんかもあるのだが、若い頃の長い啖呵を切るようなところもない。
 この映画、寅さん映画では唯一大型の海外ロケをした映画だ。美しいウィーンの街並をこれほどきちんと映画に取り込んだ映画を私は知らない。きちんと必然性もあって取り込むってのは本当に難しいのだが、それをきちんとやってのけた。
 ここでの柄本明の演技は特筆ものである。ちょっとホモっぽい悩める中年を演じているのだが本当にウマい。山田洋次の偉大なるマンネリを満喫した。きっと山田監督と渥美清さんが一緒に海外に出かけた最後の記録なんだろうと思う。何か胸がジーンとするよ。
 2012年6月25日 DVD
マットディモン

「マットディモンは全米の良心のアイコンである」
 マットディモンはもう完全にアメリカのブルカラー善良親父のアイコンになってしまった。いや成り下がってしまったなあと思う。動物、かわいい子役、亡き妻への愛、立ち直る男と立て直す家族関係。おまけに潰れかけた地域の人の思い入れたっぷりの動物園まで立て直してしまう。感動の要素がどんだけ詰め込まれた映画なんだよ!
 この映画、実話を下にしているらしく、確かに実際にも動物園もそこそこ成功したんだろうけど、もう映画での動物園の観客数が多いのなんのって、いくらなんでもそんなに来ないだろうと思ってしまった。
 
 この映画は映画の興行として成功するための要素ありまくりの映画で、冒険している感じがまったくない。せめて、キャスティングで、危なく過去にドラッグで一度消えかけたクリスチャンスレーターなんかが主役だったりしたら面白いのになあと思った。マットディモンももうこういう作品は山ほどやったから、セックス中毒や愛する妻に暴力を振るってしまう男の苦悩とかそういう役柄をやればいいのに。これじゃ~な~。いいたいことは「キセキ」は何も起きていない。予想通り、予定調和の映画なのであるのだから。でも見ていていい映画なんで。一度は見ましょう。原題がいいよな。私たちは動物園を買った!

2012年4月4日@機内映画
監督脚本/ウディアレン
出演/キャシー・ベイツ、エイドリアン・ブロディ、カーラ・ブルーニ、マリオン・コティヤール、レイチェル・マクアダムス、マイケル・シーン、オーウェン・ウィルソン

ハリウッドで売れっ子の脚本家ギルは、婚約者アィネズと彼女の両親とともにパリに遊びに来ていた。パリの魔力に魅了され、小説を書くためにパリへの引越しを決意するギルだったが、アィネズは無関心。2人の心は離ればなれになり……。キャストはギルにオーウェン・ウィルソン、アィネズにレイチェル・マクアダムスのほか、マリオン・コティヤール、仏大統領夫人としても知られるイタリア出身の歌手カーラ・ブルーニら豪華スターが顔をそろえる。第84回アカデミー賞では、アレン自身3度目となる脚本賞を受賞した。


「これぞ傑作。パリを描いた最高の映画のひとつ」
 ウディアレンは傑作を山ほど送り出してきた。彼は彼の愛する街を描くのが素晴らしい。特にニューヨークは数々の映画でその素晴らしさ美しさを描いてきた白黒で描いた「マンハッタン」を超えるニューヨークの映像は未だにない。そして、彼はパリが大好きである。残念ながら彼のファンが多く大事な市場であるはずの東京にはあまり興味がないみたいだけれども。「世界中がアイラブユー」でパリの魅力をある程度描いたなあと思ったけれども、この作品はとうとうウディアレンがパリの素晴らしさを描き切った作品を生み出したといえるだろう。冒頭の数分間は昼のパリの映像がただただ映し出されるだけである。そして、それだけで、観客はノックアウトされてしまうのだ。その手法は「マンハッタン」の冒頭でも使われた手法であったけれども、今回も完全にやられてしまった。そして、昼でもこれほど美しいパリだけれども夜はさらに…と映画は進むのである。
 憧れの思いと現実を引きずりつつパリで体験するノスタルジア。夜に起きるファンタジーは心の中では誰もが経験していることだろう。それを美しく楽しいウィットに富んだ、そして何よりも都会人のユーモアをもってウディアレンは描くのである。こういう映画に出会うときっと映画好きになる。ああ、映画館で見たかった。2012年4月4日@機内映画
監督/アレクサンダー・ペイン 脚本/アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ 撮影/フェドン・パパマイケル
キャスト: ジョージ・クルーニー、シャイリーン・ウッドリー、アマラ・ミラー、ニック・クラウス、ボー・ブリッジス、ジュディ・グリア


「ハワイの美しさに描く、人生の受け入れ方」
 この映画の原題が大切である。the Dedcendants 子孫、末裔という意味合いがある。この映画の主人公はハワイのハメハメハ大王から受けついだ土地持ちの弁護士であり、この土地にまつわる話も映画のひとつのキーになっているので、このタイトルとなるわけだが、この Dedcendantsという言葉、動詞の Dedcend となると、下る、傾く、降りるといった若干ネガティブな意味合いをもったものになる。
 ハワイのオアフだけでなくハワイやマウイといった他の島々の魅力的な風景をふんだんに見せながら、決してバケーションでそこにいるのではない暮らす人々の直面する人生を描く。それは美しいどころか、矛盾と弱点をふんだんに孕んでいるのだ。
 ジョージクルーニー演じる主人公が、人生のさまざまなことに直面しながらそれを積極的ではないにしろ受け入れて、最後にはそれらも含めて愛せるようになる姿を描いている。ひとつの人生の叙情歌である。脚本賞でオスカーを受賞。しかし、撮影が素晴らしいのだけれども。タイトルも音楽も秀悦。
 しかし、ジョージクルーニーは作品選びがスゴくいい。オスカーは逃したが彼の代表作になるだろう。 2012年3月21日 機内映画
ブレッドラトナー監督
ベンスティーラー・エディマフィー・マシューブロデリック・アランアイダ

「ニューヨークを味わいながら楽しく過ごせる2時間」
 ニューヨークのいろんな風景の取り入れ方が見事である。ニューヨーカーなら誰でも知ってるコロンバスサークルにあるトランプタワー。そこが舞台。ニューヨークのサービスやってる人はこんなに楽しい人ばかりじゃないけどなあと思いつつ楽しく見た。シャカシャーキーという新しい人気ハンバーガー屋さん。マンハッタンに何軒もあるんだけど、その8番街43丁目の店が出てきたり。感謝祭のメーシーズのパレードが出てきたり。
 金融マンに一般人が合法的に金を奪われることは良くあり得る。でも、泣き寝入りがほとんど。そんな事件も多く起きたから、こんな夢物語もいいじゃないか。名うての俳優が見せる楽しい映画である。そして脇役の俳優の味わいのあること。脇役は出番が少ない、台詞も少ないから、出てきてアップでなくても一瞬で観客の心をとらえなくてはならない。そういう俳優がどれだけいるんだ、この国は!傑作ではないが、見ていて楽しい。ニューヨーク好きに特にオススメしたい。
2012年4月16日@機内映画
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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