佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 映画 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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リドリースコット監督
レオナルドディカプリオ
ラッセルクロウ



「巨匠の手腕が光る社会派エンタティメント」
 監督の名前で映画をみる。そんな監督は世界でも少ない。しかし、リドリースコットはまぎれもなくその一人である。見ていて面白いなあ、誰が監督だろうと思って最後のクレジットでリドリーの名前を見て、なるほどねえと思った次第。名匠なのだ。
 今回もアメリカのテロとの最前線の実情を丁寧に描きながら、アクションとスリル、そして人間ドラマがものすごくバランス良く仕上げられた作品になっている。分かりやすい善悪の色付けを出演者にしない距離感も見ていて心地よい。ディカプリオもラッセルクロウも、そして、名前の知らない中東系の俳優さんもみんな非常に生き生きと映画の世界に生きている。
 大人の鑑賞に十分耐えうる作品に仕上がっている。リドリースコットは名匠だと改めて感じさせてくれた。

2012年4月15日@機内映画
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矢口史靖監督・脚本
五十嵐信次郎(ミッキーカーチス)


「観る者を幸せにする矢口映画の新作」
 矢口映画は観る者を幸せにする。「ウォーターボーイズ」「スゥイングガールズ」と若い世代のほろ苦い挑戦を通して何か生きていく面白さを教えてくれた。そして、今回の主役はミッキーカーチスさんだ。このキャスティングがものすごく旨い。俳優だけやってる人でない、いい意味での役との距離感がうまいんだよなあ。
 この作品でも電機会社に勤める中年直前のダメサラリーマン三人組と一人暮らしの孤独な老人の作る世界がいい感じで明るい。人生をポジティブに描いているのだ。リアル感も大切にはしているが、例えば、観客がひいてしまうような金属アレルギーの症状は漫画のようなメークの処理である。観客に優しい監督なんだなあとつくづく思った。一方で老年のミッキーさんのケツを見せてみたり、二枚目の田辺誠二にカッコいいシーンを全く与えずヘンテコ夫の姿だけやらせてみたり何か面白いんだよなあ。うん、何か見ていて楽しくなったぞ。家族で笑いながら見て頂きたい映画である。オススメ!観る前に、ポップコーンとかケンタッキーとか用意してみよう!

2012年4月15日@機内映画
ガイリッチー監督
ロバートダウニーJr
ジュードロウ


「ガイリッチーはもうちょっといいや」
 このヘンテコな映画作りは何だろう。ハイスピードカメラによるスローモーションが山ほど使われる。そして、通常のドラマはどんどん飛ばされるスピード感。雰囲気はあるけれどそれだけ。ギャグと思ってやっていることも悪趣味。好きでない。
 ロバートダウニージュニアもジュードロウも演技派として一流なのに、いいのかこんな映画に出てしまって。


2012年4月16日@機内映画
トムクルーズ
監督/ブラッドバード
脚本/クリストファー・マッカリー

「ミッション完了!生き残ったトムクルーズ」
 トムクルーズがやばくなってから何年たつのだろう。怪しげな宗教にはまっている、セックス中毒といったゴシップ記事は映画「ワルキューレ」のころに極限に達していた。あの笑顔の裏には…と多くの人が思っていただろう。欧米でも露出が少なくなって最後の大市場の日本に頻繁に来日してた。そして笑顔を振りまいていた。
 もとい、そんなことはどうでもいい。問題はトムクルーズの出る映画がどんどんひどくなったことだ。全編トムクルーズのアップ映像ばかり見させられた。脚本はトムクルーズ以外の出演者のことはほとんど書かない。なんじゃこれ!という映画ばかりだったのだ。
 唯一面白かったのが「ミッションインポシブル3」だろう。そこにはフイリップシーモアホフマンという稀代の俳優がいた。トムとガチンコで対抗してた。相変わらず脚本はトム中心だったがホフマンは悪条件の中でも、ものすごい存在感を出していた。世界各地のロケーション映像も楽しかった。

 トムクルーズはいまだにトップスターの座が危ういリストにあるといえる。世界遺産の危機遺産に登録されちまった感のある存在なのである。画面を見ると加齢による影響も強くなり、いよいよやばい。
 ブラッドピットが60歳までに引退しますと余裕かましてるのと違いすぎる。ブラットピットにオスカーをやらないままで引退させていいのか?嫉妬まみれのハリウッドも思い始めたのか、大した演技もしていない「マネーボール」でブラッドピットはオスカーの候補になった。
 そして、トムは「マネーボール」のような作品にも出ていない。オスカーの候補になるような作品に全然でてない。いいのか?トム、このままでいいのか?このままいくと過去の栄光にも傷がついてしまうぞ。日本から日本語でだけど、アドバイスしておくよ(爆)
 この作品のことを話そう。感想はトムクルーズは何とか生き残った。でも傷らだけだ。さらっと一度見るのなら十分楽しい作品だけど、それだけだ。
 今回の作品では、ドバイ、ブタペスト、ボンベイなど世界各地の映像と激しいアクションで楽しませてくれる。残念なのは、トムの周りにいる俳優たちが上手いけれども俳優として弱いことだ。トムを邪魔するような存在でなければならない。悪役も弱い。プロデューサーでもあるトムクルーズを2時間どう見せるかなんか考えて映画を作らないで欲しい。面白い映画を作ってそこにトムを放り込むだけでいいのに。
 それでも、迫力あるアクションシーンの連続は認める。ただ、CGの使い方が下手。生アクションがウソっぽく見えてしまう。

 映画史に残る名作ではないが、映画館でみる価値のある作品には何とか仕上がっている。
 トムクルーズはそろそろ自らプロデュースするものではなく、ひとつの歯車として映画に出た方がいい。自分のことは自分が良くわかっている。トムクルーズはそう思ってプロデュースしているのかもしれないが、危機遺産であることを自覚しなくちゃ。このままではトムクルーズは過去の人になる。ああいう俳優もいたよねという存在に成り下がってしまうのではないかと他人事ながら心配なのだ。

2012年4月4日@機内映画
金子修介/監督・脚本



「新しいスターの誕生と心に沁み入る佳作」
 金子修介監督は映画界の職人である。大作であれ、小さなすみれのような作品であれ丁寧に取り上げる。この作品はご兄弟が脚本執筆に名を連ね、妻でもある金子奈々子さんが主要な役柄で出演する手作り感溢れる作品だ。セレブな家庭に育った高校3年生の女の子が震災後に見舞われる激変で出会った人と環境にあたふたしながらも明るく対応していくロードムービー。
 見ていて心が暖かくなるし、すべての人生をほんわり肯定してくれる佳作だ。そうすみれのような作品なのだ。金子奈々子さんの演技が本当に素晴らしい。そして、仁科貴さんはゲイの役をやってるのだが、品がいい役作り。でも、相手役にどかーんとしている役者がふられたならどんな演技でやったのかも興味がある。
 この映画は撮影が誰か分からないのだけれども、色に興味がある人なら、緑と青がとても奇麗に映し出されること。そして、いろんなタイプの白色があることを感じさせてくれるのに気づくだろう。それが普段の生活の中で表現されるのだから、僕はこの映画のあと、自分の生活の廻りの色、特に青と緑が気になって仕方ない。
 オープニングは色んなものを隠してくれる東京の夜景の空撮から始まる。ソラから人々の生活を見下ろすところから始まり、最後は少女が入道雲の出ている空を見上げるところで終わる。
 この映画すみれのような映画なのだが、森星という主役の若い新人女優は久々に大輪を思わせる。演技は未熟であるが、それを上回る華がある。
 2012年2月7日@渋谷の試写室にて
ドライビング Miss デイジー Driving Miss Daisy
監督/ブルース・ベレスフォード 脚本/アルフレッド・ウーリー 音楽/ハンス・ジマー 
出演者/ジェシカ・タンディ モーガン・フリーマン ダン・エイクロイド パティルポン


「現代のファンタジー=おとぎ話の傑作」
 名作とはこのことだ。ジェシカタンディはこの作品で80歳でアカデミー賞主演女優賞を受賞する。http://youtu.be/DVyzU4fhm-I彼女は60代から90才くらいまでの女性を演じる。初老から晩老に至る演技の見事さ。それはモーガンフリーマンにも言える。元々舞台作品、ユダヤ人老女と黒人運転手の数十年に渡る交流を淡々と描いていく。決して大きなエピソードがあるわけでも名台詞があるわけでもないが、2人の素敵な人間関係はもしかしたら現代のファンタジーなのかもしれない。人が求めて手に入れられないものを描いたのだろうか?
 ジェシカタンディは1963年にヒッチコックの「鳥」に出演して以来20年間映画出演をしてこなかった。1980年代中盤から再び出演。85歳で亡くなるまで精力的に出演する。そして、彼女の頂点はこの映画とあった。晩年に頂点を上り詰めた彼女の人生も、現代のファンタジーでありおとぎ話である。まるで映画に寄り添ったような結末だ。いづれにせよ、観ていて癒される見事な映画作品となった。ユーモアも秀悦。

2012年3月24日 DVD
アカデミー賞だけでなくゴールデングローブ賞も受賞。

アンドリュー・ニコル監督


「見事な構成で完成された秀作」
 人間の老化のプロセスとメカニズムが分子レベルで解明されつつある現代だからこそリアル感もあるストーリー展開。話そのものはロマンチックなSFサスペンスの王道で見応えもある。テレビドラマで実績のある非映画スターを採用したのも成功の鍵のひとつとなっている。しかし、美術はいただけない。セレブが住むというニューグリニッジの美術がローマ趣味と10年ほど前の未来感あふれる美術ばかり。そこがちょっと残念だけれども見ていて飽きない。2012年2月14日@機内映画

「ジョージルーカスの深い哀しみを感じてしまった」
 考えてみるとスターウォーズは悲劇だ。ファントムメナスからの3作は、ジョージルーカスが3作とも自らメガホンを持ち懸命に制作したにも関わらず、1970年代に得た世界的な熱狂は最後まで得られずに終わってしまった。興行的な失敗は受け入れるとしてもルーカスにしてみれば映画史に燦然と輝く名作であるはずなのだ。
 それが世界中で全ての映画のベスト100とか200にファントムメナスを入れる人はいるだろうか?ジョージルーカスの深い哀しみを僕は感じるのだ。
 この作品は、家庭でどんなに大きなモニターと素晴らしい音響装置で見たとしても映画館の暗闇の中でみるのとは違う感覚しか味わえない。
 3D化することによってもう一度、世界中にこの作品を評価してもらえる機会があるのならと飛びついたのかもしれない。僕はそれだけで十分だったのだが、望んでいたのはバトルシップが画面から飛び出して頭上を飛んでいく、放たれた砲弾が目の前を飛んでいく。近年作られる3D映画にはそういうシーンがあるからだ。だから、この映画にも望んでいたのだが、いかんせん撮影するときにバトルシップは画面の下に消えていくように撮影しているから飛び出すはずがないのだ。
 3Dになったけれども、画面の中だけで奥行きがでるだけで、近年の作品の様に画面と飛び出した映像は楽しめない。俳優のクローズアップで、鼻の高さや顔の形が強調されても面白くはない。まあ、もう一度、この作品が映画館で見られただけで感謝しなくてはいけないのかもしれない。
 2012年2月13日@SF CINEMAcity terminal21 バンコク
監督: クリント・イーストウッド
脚本: ダスティン・ランス・ブラック
撮影: トム・スターン
美術: ジェームズ・J・ムラカミ
キャスト: レオナルド・ディカプリオ、ナオミ・ワッツ、ジョシュ・ルーカス、ジュディ・デンチ、ジェフリー・ドノバン




「イーストウッド監督作品だけに失速感たんまり……残念!」

カルビンクーリッジからリチャードニクソンまで8人の大統領の元でFBI長官だったフーバーの伝記映画である。科学捜査を始めた事や権力欲に超右翼、マザコン、同性愛者といったフーバーの伝承されている姿を映画化した。2時間13分。つまらなくはない。しかし、クリントイーストウッドの映画である。期待はもっと高かった。権力者の哀しみをもっときちんと描かれているのだと思った。しかし、それはほとんど表面的にしか描かれない。
 ディカプリオの演技もいつものようで、台詞ひとつとっても普通に話さない。アクセントと強調で台詞を押し切るのは、スコセッシ映画だけで十分なのに。さらに、老年期のメイクが酷い。童顔過ぎるディカプリオをキャスティングした誤りではないか?ジュディリンチの存在感はスゴいね。2012年3月15日 機内映画
監督/脚本 ジョン・カーニー
出演 グレン・ハンサード マルケタ・イルグロヴァ
撮影 ティム・フレミング

予告編→ http://youtu.be/I6xIF92OUos
「サンダンスの秀作」
 サンダンスフィルムフェスティバルに出品された作品というのが、頷ける作品である。ダブリンで出会ったエリートではない、むしろ中流でもない男女。でもアートを愛し、人を大切にする2人の交流を描いた映画。何かホントほんわかするなあ。そして、挿入曲がとてもいいのだ。ヘンテコな占い師に頼るのではなくツタヤでこのDVD借りなされ。もしも心が何か温かいものを必要としたら…
2012年3月3日 DVD
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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