佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 演劇 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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エリックシェーファー演出
コリンエスコット&フロイドマトラックス共同脚本


「この10年に見たブロードウェイ作品で一番つまらない決定打!」
 ブロードウェイは日曜の夜にはほとんどの作品がお休みである。選択肢は少ない。その中で見たのがこれ。1856年12月8日、メンフィスの中小レコード会社のスタジオになぜか、エルビスやヒュールイスら、アメリカのポップス史上に描かせない4人が一堂に介し一夜限りのセッションを行う。その中で、契約問題や、お互いの音楽制の違いなどの対立があったりする。有名どころをコロンビアレコードに取られてぎゃふんなプロデューサーサンレコードのプロデューサーは仕方なく写真を撮った。ま、それだけの話で、本編は80分。それもほとんどが音楽で終わる。終わってからライブが続く。
 何だよこれ。くそつまんねえ。何のヒネリもない。
 ダンスの魅力ゼロ。歌の魅力、これアリものの曲なので特になし。話、ヒネリなし。美術、ありきたり。これだけ、何も見どころの無い作品に出会うのは珍しい。
 それも、これだけの本を書くのに二人掛かりかよ!と思うくらいにアレレな作品。いいところは無いのか。強いて言えば、役者の芝居はうまい。特にサムフィリップスというプロデューサー役をやったハンターフォスターは上手いなあと思っていたら、リトルショップホラーズでトニー賞にノミネート。他にユーリンタウンやプロデューサーズ(レオブルームの役をやったらしい)にも出演している。まあ、一流どころでした。全体的に演奏も歌もいいのだが、何しろこれだけの話なので、セットも小劇場みたいだし。驚いたなあもう。これで130ドル取るってどういうことだよ。まあ、俺は半額チケットだけど。来年の今ごろはやっていないでしょう。


2010年4月18日ソワレ ニーダーランダー劇場(ニューヨーク)
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主演 デンゼルワシントン ビオラデイビス
オーガストウィルソン 脚本
ケニーレオン 演出


 デンゼルワシントンが舞台に立つというので見た。1987年の作品でピューリツア賞受賞のオーガストウィルソン(1945-2005)の代表作。1950年代の何部の家族を描きながら、それは、現代にも通じる話が脈々と流れている。テネシーウィリアムズ的な作品です。
 殺人罪で前科1犯の黒人の男はいまは社会の底辺の仕事をしている。妻とのセックスだけではものたらなく愛人もいる。息子がフットボールで大学からスカウト。それなのに承諾しない。親子のケンカ、家出。愛人との子どもは父親の死後、妻が育てる。
 まあ、とにかく出演者が見事ですなあ。しかし、参ったのは南部なまり。デンゼルワシントンといえば、シドニーポワチエ以来の知性的な黒人俳優のイメージだし、その知的な演技で2回もアカデミー賞を受賞しているわけだけれども、今回は南部の貧しい黒人で、いやはや訛りが強くて分かり難い。英語が!英語がわからねえという苦難はありましたが、おおよそのストーリーはつかめましたな。
 およそ知的な人間ではない男を演じているけれども、その演技自体は知性と品格にあふれていた。ステレオタイプな人間の描き方はしないし、感情をすぐに表には出さないし。素晴らしいものでした。開演前から幕があがっていたので、こっそりセットを撮りました。このまま2時間半、人間に迫る話が、、、、、
 妻役のヴィオラデイヴィスはトニー賞の候補にもなった実力派女優ということで、魅力も演技力もあるのですが、ちょっと感情を表に出し過ぎで分かりやすい演技。
 こういう芝居はとかく主演者だけが目だつ芝居になりがちですが、カンパニーとしてとても良かったです。デンゼルワシントン、本当にいい役者だと実感。今度はなまりの少ない役のものを見たいなあ。





2010年4月16日 コート劇場(ニューヨーク)
主演 ネイサンレイン ビビ・ニューワーズ
作詞作曲 アンドリュー・リッパ




 豪華な舞台セットと見事な演技で本当に楽しませてくれた。しかし、芝居みんな上手いなあと思っていたら、例えば、テレンスマンという人はレミゼのジャベールでトニー賞ノミネート、美女と野獣の野獣でトニー賞ノミネートの三ツ星俳優だったり、トニー賞ノミネートの俳優が合計3人もいました。大スターのネイサンレインや、シカゴのべルマと何かで2回トニー賞受賞のビビがいるだけでなくものすごいカンパニーでアダムスファミリーというよりも、トニーファミリーという感じ。5人もいるんだからね!!!
 ただ、歌はどうなんでしょう?ここでサンバとか、音楽の選び方も詩もいいなと思ったのですが、劇場を出て口ずさめる歌がない。これはミュージカルでは決定的な問題ではないでしょうか?

 しかし、プロデューサーズではバルコニー、おかしな2人では1階後ろで立見でしか観られてこらなかったネイサンレインを前から5列目の特等席で堪能できたのがとにかく良かった。他の俳優も本当にうまくて最高でした。これなら140ドル出す価値は十分あるというものですな!



2010年4月16日 ラントフォンティーン劇場(ニューヨーク)
主演 キャサリンゼタジョーンズ
作詞/作曲 スティーブンソンドハイム


1973年初演の傑作。いい曲もあるけれど、ソンドハイム節出しまくり。見た理由はもちろんゼタジョーンズのニューヨークデビューを自分の目で見たいから。残念だったことは80歳を過ぎた名優アンジェラランズベリーが休暇中で出ていなかったこと。僕は子どもの頃から知っている女優さんなので生で見たかったなあ。
で、こうなるとゼタジョーンズがどうかという話になるのですが、華はあるけど、芝居はそこそこというのが結論ですな。ミュージカルなのに声枯らしてどうすんの?無名の共演者にそうとう食われていました。これじゃあ、映画やテレビだけでなく舞台経験豊富なランズベリーがいる時には相当大変だろうなあと思った次第。話的に仕方ないのかもしれないけれど、舞台装置が単調すぎてうーむ。ブロードウェイも不況で安っぽいセットが増えました。チケット代は値上がりしてんのに。


2010年4月14日 ウォルターカー劇場(ニューヨーク)
テリージョンソン演出
ダグラスホッジ ケルシーグラマー 出演


 2009年12月に寒い思いをしてロンドンの天井桟敷で観たのと同じ演出版を今回は特等席で。俳優さんも違うのでイメージが少々違うけれども。ジョルジュ役のケルシーグラマーの演技が好きだなあ。ほとんどのっぺらぼうなかたり口調なのに絶妙の間を音色で笑いを確実に取っていく。アメリカのテレビのレイトショーのMCみたいです。この役でオリヴィエ賞に輝くホッジの演じるアルバンも見事だし魅力的。しかし、アルバンのお付きのジェイコブ役が今回も美味しいところを持っていくロビンデジェシュという人らしくインザハイツでトニー賞ノミネート。ドラマデスク賞を受賞しているらしく、まあ、当たり前なんですが。
 12月に見た時はそこまで思わなかったんですけど、音楽もいいし。セットもそこそこお金も掛かっていて、これくらいは見せて欲しいなあと思います。節約舞台はブロードウェイに似合わない。


2010年4月14日(マチネ)ロングエイカー劇場(ニューヨーク)
中島淳彦 作演出
佐藤B作 山口良一 あめくみちこ 井之上隆志 ほか




東京ヴォードヴィルショーで書き下ろしでないものを上演するのは珍しい。特にこの作品は三演目ということになる。他の劇壇で書いたものを本公演でどかんとやった。それは、この台本を読んだ佐藤B作氏が惚れ込んだからだという。そして、朝日新聞の劇評でも絶賛されたように、それは東京ヴォードヴィルショーの財産のような作品になったのである。まるで、今回の出演者のために書かれたような作品となったのだ。
 佐藤B作さんがどかんと舞台の中心に位置して、そこにあめくさんや、市川さん、石井さん、そして、ずるいくらいに上手い客演の井之上さんらが加わる。さらに、山口良一さんや斎藤清六さんが美味しいところを持っていく。役者の肉体と精神が結実して素晴らしいアンサンブルを作っていた。
 今回特筆したいのは若手の活躍である。まいど豊さんを若手といっていいのか分からないが、金沢貴子と京極圭の2人は素晴らしい演技を見せた。なんていうんだろう。すごい演技だった。どうスゴいかって、それは、完全に御芝居なんだけど、ものすごくリアルな、そこにその人物がいて生きている感がものすごくあったということか、、、。
 きっとこれだけ成功したのだから、再演されます。素晴らしい美術に洒落た音楽、王道な照明や衣装も素晴らしく、演劇好きの心を鷲掴みにします。

 しかし、思うことは、こんな傑作書いてしまうと中島さん大変だろうなあと思うのです。こんなのばかりは書けないと、さすがに書けないと思うのです、


2010年4月9日 @紀伊國屋ホール
第三部。『実録先代萩』「助六」

 芝かん、団十郎、玉三郎、勘三郎、橋之助、三津五郎、菊之助、左談次、幸四郎…。きらびやかな面々が一同に介した祝祭的な歌舞伎でした。助六ばかりが言われていますが、先代萩での芝かんさんは、それこそ、名だたる女形が亡くなり最後に残った最長老として、きっちし芝居をしていた。伝統を忘れず、型に流されず、心で演じるその姿には命がけという言葉がしっくりするような迫力がありました。もちろん助六で揚巻をやった玉三郎の気品と華やかさも素敵でしたが、芝かんさんが積み上げてきた王道感がこの芝居小屋の60年の歴史の最後に相応しいものだと思ったのです。きっと、助六よりも僕の記憶に残るのは先代萩のほうでしょう。長年通った歌舞伎座ともこれでお別れ。最初に来たのは20代の初め、慶応大学125周年記念で招待券をもらいました。先代の勘三郎さんや、松緑さんが舞台に立たれていた頃でした。最初で最後の3階席。もう25年以上前のことです。さようなら、ありがとう。。。歌舞伎座。


両方とも目もくらむようなキャストで御名残歌舞伎に相応しい祝祭的な部分がある御芝居でした。

2010年4月4日@歌舞伎座
[原作] 郭宝崑(クオ・パオクン)
[演出] フレデリック・フィスバック

[出演] 結城孫三郎/結城千恵/荒川せつ子/結城育子/加納幸和/大久保鷹/ほか結城座


劇団ホームページの解説
創立375年を誇る江戸糸あやつり人形結城座が、02年にもタッグを組んだフランスの演出家フレデリック・フィスバックと、シンガポールの劇作家・郭宝崑の戯曲に挑みます。さらに今作は、花組芝居の加納幸和と状況劇場出身の大久保鷹が人形に交じって出演。海を越えたコラボレーションをお楽しみに!

感想 とても不思議な空気感をもつ作品のはずなのに、なぜか歯車があっていない感じがしたのはなぜだろう?文楽のようにあやつり人形に漂う表情を期待したのは間違いなのか。むしろ、言葉で語られるテキストが観客に想像させる部分で勝負していたような作品だった。もっと視覚的な幽玄な世界とか、空気感がもっと欲しかった。次は古典作品で見てみたいと思った。

2010年3月22日@シアタートラム
作演出音楽 佐藤治彦
出演    石上慧 川上麻子 今林久弥 松田かほり 岡本篤 土屋研二 ほか



2010年3月14日

おかげさまで無事に千秋楽を迎えました。ご来場頂いたかた、応援して下さった方、気にかけて下さった方誠にありがとうございました。次回は8月11日からです。よろしくお願いします。
 佐藤治彦が2007年以来3年ぶりに本格的な舞台に出演します。



ギィ・フォワシィ 作 『詩人の墓』 『大笑い』 『相寄る魂』
2010年2月11日~21日          
銀座みゆき館劇場 
演出: 村田大  訳:山本邦彦 梅田晴夫 
出演:中山一朗(元SCOT)、稲葉能敬(桟敷童子)、麻志那恂子(文学座)、川田小百合、新森大地、鶴岡悦子、ARCHE、南谷朝子、佐藤治彦(経済とH)


 コメディフランセーズでも高く評価された現代フランス演劇の頂点のひとりギィフォアシィの代表作「相寄る魂」は男女2人の恋愛劇。それに挑戦!?ご一緒させて頂く南谷朝子さんは、清水邦夫さんの木冬社、出身。二兎舎永井愛さんの作品に何本も出演。特に「僕の東京日記」や「萩家の三姉妹」などの名演技は今も語りぐさ。マキノノゾミさんの代表作「東京原子核クラブ」ほか、桟敷童子、自転車キンクリーツ、和田憲明さんとの協業ほか、自らもNANYA-SHIPという演劇集団をお持ちの方です。


おかげ様で好評のうちに演じきることができました。誠にありがとうございました。
テアトロ(2010年4月号)では劇評でも取り上げて頂き「佐藤の芝居が上手い」と褒めて頂きました。本当に嬉しかったです。 
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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