佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 演劇 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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脚本演出/モダンスイマーズ
出演/モダンスイマーズ 古川悦史 ほか



 面白かった。岸田戯曲賞まで受賞した蓬莱竜太の作品ではなく10周年記念だからとみんなで書いて作った作品で、芝居でありながら、どこか10年間結束して頑張って来たモダンスイマーズ自らを祝祭するような作品だった。男の弾けぶりを見ろ!みたいな。それが妙に心地よく、そして、作品をきちんとしめて終わるところも良かったなあ。
 最初に観たのは5年以上前のことだと思うのだけれど、不思議な芝居だった。メンバーは毎回、手書きで来て下さいと手紙をくれた。いまは3000人近く集客するという。手書きの案内状はいつか来なくなったが、作品作りにその誠実さ、一本気さが残っていて本当に気持ちよかった。

2009年7月17日
赤坂レッドシアター
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7%竹『オマルコホンポタス~ロシアでいうところのマトリーショカでございます~』  

作・演出・出演 武藤心平 サポート:長内秀樹
脚本提供:佐藤治彦(経済とH)
出演:新井田沙亜梨・ヨウラマキ・ 宮本愛美・古市海見子
福田高徳・畔上千春・帯金ゆかり・吉田十弾・田山ゆき・垣内裕一



好きなようにしていいよと申し上げていたので、何のあれもないのだが、僕の台本は外枠だけ残っていて自分が面白いと思っていたところはなくなっていた。これは武藤君の世界なのでまったく問題なしだが…。出演者は面白かった。吉田十弾とか、帯金ゆかりとか、福田高徳とか、古市海見子とか、田山ゆきとか、面白かった。話の締め方が似ていたのが気になった。


2009年7月22日(水)
新宿FU
作演出 横内謙介
出演  岡森諦 山中崇史 有馬自由 鈴木利典 藤本貴行 中原三千代 杉山良一 ほか



 傑作。チケットを奪ってでも観に行った方がいい芝居。東京でもこれほどのレベルの作品はほとんどない。若い人から年配の人迄、日本人から外国人迄、どんな人が見ても、台詞に、演技に、視覚に、すべての五感で演劇を体験しつくせるもの。
 浄瑠璃も、シェイクスピアも、ギリシア悲劇も、漫画も、歌舞伎も、ミュージカルも、人形劇も、新劇も、ロックも、そして、横内謙介の過去の作品までをも呑み込んでいく骨太な作品。これは、横内謙介と劇団扉座が作り上げたというだけでなく、今までのパフォーミングアーツの歴史があってこそ生まれた作品でもある。
 そして、私が思うに、生きた役者が演じる舞台を見て味会う究極の気持ちは、生きていることのしあわせではないだろうか。愛おしさではないだろうか。
 だから、すべてのことを呑み込んで、自分がいま生きていることを肯定し、現世のこの人生を愛おしく思い大切に行こうと思えるようになる。それだけでなく、廻りの人までをももっともっと愛おしく見えてくるような珠玉の作品。再演ものではあるが、初演を遥かに上回る完成度に身震いした。横内謙介が生んだ21世紀の作品として最高傑作のひとつ。戯曲家として現代日本を代表する横内謙介であるが、ここでは演出家としての才能を見せつける。戯曲の力でねじ伏せて行くのではなく、劇団力で見せる。すべての出演者が素晴らしい。関東地区でたった7日間。全席完売がうなづける。
 
 出演者の魅力は尽きることがない。3年半ぶりの舞台であった山中崇史には深みが増した。ユーモアに加えて面白いことをやっていても哀しげな、そう「道」のアンソニークインの匂いがするようになった。岡森諦はメインでありながらもバイプレイヤーの役という大変難しい役どころをプロの演劇人として見事に演じた。その声の魅力は尽きることがない。中原三千代、有馬自由とメインどころはもちろんスゴいのだが、私が感じるのは若手のアンサンブルの充実ぶりなのだ。例えば、安達雄二、串間保彦といったほとんど台詞のない出演者。旗を振り回すことで表現をすることを求められる俳優たち。しかし、彼らは文字通り命がけで旗を振っている。そこに感動がある。拳をあげているところに感動してしまう。

 中堅の充実ぶりはスゴい。もはや扉座の大黒柱になった鈴木利典は「集合!」という台詞だけで観客を笑いの渦に巻き込む。ものすごい集中力だ。上原健太がね、見事に上手くなっていてね。スゴいぜよ。川西佑佳が廻って来た大チャンスに決しておじけづくことなく、堂々と向き合って演じきったこと。そして、結果として見事な姫を演じたことに感動してしまう。 江原由夏は、本当に楽しく、あき竹城くらいのベテランでしか出せない不思議な魅力を20代で醸し出す。見事。大抜擢の小嶋喜生も半年前の舞台と同じ役者かと思うくらい成長。去り際まで魅惑する!


 百鬼丸の中で竹が揺れるところがある。
 心が揺れるところ、ドラマが起こるところで竹が揺れる。心がざわざわするって。ホントに視覚的にきちんと見せてくれて。 観劇に来ていた日本を代表するエンタティナーが打ち上げで言っておられたけれど、偉い浄瑠璃の先生の上手い録音よりも、この見事なアンサンブルを行う扉座の劇団員が一糸乱れぬ語りをやってみせる。その呼吸の合い方に感動してしまう。心の入り具合に感動してしまう。

 とかく劇団扉座の公演は、横内謙介の本が良かったと感想がまとめられることが多い。しかし、この作品は横内謙介のシャープで削ぎ落とし、この作品の肝の部分に迷いなく突き進んで行く戯曲もすごいのだが、その演出の素晴らしさ、そして、何よりもベテランから若手までカンパニーの総合力で勝ち取った勝利なのだ。素晴らしい。感動した!



2009年7月10日
紀伊國屋サザンシアター


来日ミュ−ジカル
マイケルベネット 演出/振付

 もう何回見たんだろ。最初は劇団四季。前田美波里さんや浜畑賢吉さんが出ていた頃。次は20数年前の来日版。そして、ブロードウェイで、2007年にもブロードウェイで。もう何回見たんだろ。それでも素晴らしい作品だった。見れば見るほど年齢を重ねれば重ねるほど、いろんなことが分かってくるからだろう。音楽踊りも素晴らしく、色あせて見えない。1階35列。遠いのだが、それでも全然、全然。
 字幕もよく出来ていたけれど、やっぱり細かいところは台詞をきちんと聞かないとなあ。





 2009年8月29日
 オーチャードホール
SET タイツマンズ さくら組LIVE 戦国ミュージカル TAKEDA
作・演出赤堀二英
出演 出口哲也 小暮邦明 岩澤晶範 白倉裕二 小寺利光(DIAMOND☆DOGS) 河野弘樹
    赤堀二英 宮内大 大竹浩一 どうじょう拓人 良田麻美 荻野恵理 久積絵夢
    Batt HAMACHI Kenichi Sakata(以上LiBLAZE) 他



今さらながらSETが面白い。実は今から10年以上前に、三宅さんも小倉さんも出ないそれを見て、アレレと思ってしまったのと、ナイロン100℃や大人計画みたいな作品だけが面白いと思っていた時期に三宅さんらが出る本公演をサンシャイン劇場で観て以来、ずーーーーーーっと見ていなかったのである。大好きな小倉さんはSET以外でも観られるし、まあ、いいかって感じで。それが、昨年、あるテレビドラマのプロデューサーに誘われて観に行ったジェネレーションギャップ。ものすごく面白かった。それから、熱海五郎一座を始めとする三宅さんと伊東四朗さんのコラボレーション、さらに昨年の本公演。全部大当たり。なので、もう一度SETなのだ。
 タイツマンズも映像や噂では散々知っていたが実際に拝見するのは初めて。スゴいねえ、あの身体能力。そして、舞台度胸。ストーリーは王道で、2時間の芝居の中でもう半分以上はタップを踏んでいるんじゃないかってくらいに肉体を酷使。やるなあ。スーパーエキセントリックシアター。へそまがりでなければ誰が見ても素直に面白い。役者が身体はって舞台やってるので、芝居を見る醍醐味が常にある。今回も徹底的に楽しませてもらいました。オススメ!でも今日も超満員だったからなあ。


 2009年7月3日
 六行会ホール
JUMP




マーシャルアーツを上手く芝居に取り入れた作品で80分間見ていて飽きない。世界水準の芝居となっていて、ロングランである。専用劇場もあって、ソウル以外でも公演しているという。チケット代は4000円で、客席300人くらいが土曜日となれば、3回公演で埋まってしまう。スゴい。美術も別にそんなにスゴいわけでもなく、とにかく俳優力。日本では日本発の芝居でこれだけロングランしているものは残念ながらないのが現実だ。あるとしたら、マッスルミュージカルくらい…か。あそこに、役者って出ていたっけ?うーーん、先ずは肉体なのかといま一度思ったのだ。

ソウル IBKジャンプ専用劇場
2009年6月26日

Bーboyに恋したバレリーナ2


 ソウルは今やミュージカル流行で、ソウルのおかげで日本でもブロードウェイの来日公演が多くなったとも言われている。アメリカやイギリスからやってくるのだから、東京だけでなく、できれば近場の他のアジアの各都市も廻ってという形にすれば向こうもビジネスになるからね。韓国人版シカゴとかにも興味はあったのだが、先ずは韓国発オリジナル作品というこで、踊りが主体ということで観に行ったのだが、ホント踊りばかり。しかし、200人はいる劇場が満杯。週に8ステージはやっているから、毎週2000人、チケット代4000円、セットは殆どなしの素舞台。出演者30人弱。大変だろうけど食えるな。もう1年以上のロングランっていうか、2ってついてるのは、前とは違うものにしたらしい。確かに事前に勉強したストーリーとは全く違ったものだった。で、驚いた。劇場でこれだけ興奮したのは久しぶり。スゴい身体能力。最初に客いじりの人が出て来ていろいろと話す。最後に日本語と英語で、携帯はダメ。だけど写真、映像撮り放題ということだったので撮りました。で、後日編集してアップします。スゴいから見て下さい。
 話は単純というかほとんど解体されていて、ダンスが80分強つながっていく。それだけだけど、面白い。





Bーboyに恋したバレリーナ専用劇場(ソウル 弘大前)
2009年6月24日
恋したらダンス Sa choom





 B−boyと比べるとストーリーもしっかりしているが、その分ダンス力は落ちるなあ、っていうかパワーっていうか。面白いけど、もう一度とはならないかも。しかし、これも1年以上のロングラン。ものすごい韓国の役者力を感じさせる成功作。東京でも人気沸騰完売したのが分かる。

ソウル Sachoom 専用劇場
2009年6月25日
 ブロードウェイミュージカル
 出演 柿澤勇人/谷口あかり/田代隆秀 ほか



 先ずはいつも高いレベルで作品を上演する劇団四季の総合力に敬意を表したい。全く知らない俳優だが、柿澤は圧倒的な魅力と身体のキレ、歌唱力、ダンス力、そして何よりも発散する若さの魅力をもってこの芝居を演じきった。モリッツ役の三雲肇もとても良かった、谷口あかりは素直に性に目覚める女性を演じていて好感がもてた。可愛いのである。
 僕はこの作品を2007年にブロードウェイで見ているが、それと比較すると、劇団四季版で1幕の幕切れのセックスシーンがほとんど簡素になっていたのが残念。メリヒオールは下半身を露にし唄いながら腰を降り続けて欲しいし、ベンドラはオーガニズムを感じるまでに恍惚感に浸って欲しいのだ。それが、この悲劇の救いにもつながるのだから。あそこまでやるのなら徹底して欲しかった。まあ、下品感は急上昇と観られるでしょうが。
 さらに、やはりあの四季独特の台詞廻しは何とかならないか。本当に役者が可哀想だと思う。

 しかし、これを東宝がやればいいのかと言うと絶対に違う。有名なタレント俳優がやったとたんにつまらなくなってしまう。知られていない俳優がやるからこそいいのだ。親近が湧く。ケチをつけたが、劇団四季は見事である。感心した。
 




2009年6月20日
自由劇場
原作 Wシェイクスピア
演出 蜷川幸雄
出演 菊五郎、菊之助、亀治郎、左団次、時蔵 ほか



 蜷川幸雄版の「十二夜」を機会があってやっと観ることができた。冒頭に非常に印象的なつかみの絵があるのはいつもの蜷川と一緒。今回は俳優陣の見事な演技、それも様式美の美しさを極めた演技で、早変わりも面白く、美術/衣装も美しく、お客さんは舞台に集中。だから人間関係もストーリーも浮かび上がってくる。そんなこんなで本当に満喫することができた。蜷川幸雄のシェイクスピアの演出はビジュアルで台詞が聞こえてこないと悪口を言う人がいる。確かにそうかもしれないが。そこに佇む人間関係がしっかりあって、エンタティメントとしても完成された最高級の作品への当てつけだなと思った。まあとにかく面白い。俳優は亀治郎のコメディの才能が最高の見せ場になっている。もちろん菊之助も菊五郎ほかも素晴らしいのだけれど。


 2009年6月22日
 新橋演舞場
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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