佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 演劇 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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 作演出/松居大悟
 出演/目次立樹 青木直也 星野秀介 堀善雄 加賀田浩二 ほか



 久々にレビューしたい若手劇団に出会った。何の前知識もなくチラシを見て面白そうだなと思い、ネットで予約して入場券を買って観る。そしたら、面白かった。
 入場した時に美術が一時期のポツドールのようで、ああいうのだったら嫌だなあと思ったらちゃんとウエルメイドなコメディになっていて、台詞もよく、センスもあり、役者陣も総じて頑張っていて何しろカンパニーが楽しそうなのである。開始直前のアナウンスに上演時間1時間35分ときいて、こいつらできるんだと思ったのだ。お客さんもきちんと笑っているし、役者もなかなかやるのである。しかし、残念なのが、1時間35分で納められなかったこと。ほぼ2時間近い上演時間でいったい何が起こったのだろうと思ったくらい。女子が再び訪ねてくる。ノック。これでおしまいにすれば良かったのになあと。もう、1時間30分以降はその前のシーンでやったような構造で同じような笑いを繰り替えしたり、長かったり。これが惜しい。作演出をひとりでやると、自制心がなくなるのである。若いってそういうことだから良いのかもしれないけれど。

今日出ているような役者がオーディションで来てくれるようになったら良いなあと思った。
 あと、2階の部屋のはずなのに、住所の部屋番号が101ってのはどういうことなのかと思った。おかしくネ?

 OFFOFFシアター
 2009年5月10日
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作演出 ケラリーノサンドロヴィッチ
出演 みのすけ 峯村リエ 大倉孝二 水野美紀 長田奈麻 藤田秀世 ほか




 ケラ作品を解くキーワードにあるものは、例えば、バンド活動だったり、別役だったり、小津だったり、ウディアレンだったり、1980年代だったりするわけである。これはケラの原点だ。そして、この作品も別役実への深い敬意が現れているような気がする。さらに、最近急速にそこに加わりつつあるものがロシア文学。ドストエフスキーとか、ゴーリキーとか。それは、人間の根源に肉迫する思想。本音の思想、ひねりのないそれなのである。
 ロシアの長い冬と生命力の乏しい夏の中にある無限に続くような滞留した時間の中から編み出された思想なのである。根源的なものと真正面にぶつかる。ずれない。対峙するのである。ずれとか笑いとかのケラ作品に、真正面に取り組むキーワードが加わったのだ。
 野田秀樹作品が社会に対して開かれた明るさを持つのと対比すると、ケラの軽さの中に重量感のある重石が加わったことはとても面白い。社会で起きることもきちんと人間の根源に照らし合わせて思考していくわけなのだ。
 役者は相変わらず面白く、むかしは三枚目にしか見えなかった大倉孝二がJ列からだと二枚目に見えてしまって不思議だった。水野美紀がメチャクチャ芝居が巧くてキレイだった。でも、峯村リエの魅力には叶わない。この堂々たる佇まい。本当に素晴らしい。チェホフを彼女で見たいですな。正統派のクラシックな演出で。藤田さんの狂言廻し役も何かロシアっぽく感じさせる一因だったのかもしれない。しかし3時間はやはり長い。ロシア文学のようだ。
 あと、6年くらい前にオッホのワークショップにいた猪股君が某劇団を経て、何とナイロン100℃の研究生になっていた。そして、起用。それも、上手い!大阪から出て来て良かったねといいたい。もちろんケラ流の乾いた笑いもずれも健在だった。

本多劇場
2009年5月4日
一、恋湊博多諷(こいみなとはかたひとふし)毛剃(けぞり)
 団十郎 菊之助 藤十郎 秀太郎 ほか
二、夕立
 菊五郎 時蔵
三、神田ばやし
 三津五郎 海老蔵 梅枝 
四、鴛鴦襖恋睦(おしのふすまこいのむつごと)おしどり
 海老蔵 菊之助 松緑

 都民劇場の歌舞伎サークルに入った。愛着のある歌舞伎座ともお別れなのでせいぜい多くのものを見ておきたいと思ったからだ。これなら一等席も1万円ちょっとで見られるわけで。今日は前から9列目。ほぼ真ん中の席で大満足。例年5月は団菊祭のはずなのに、そういう名前は外れたのかな?それでも、団十郎や菊五郎など大御所も顔を揃えた。実は今回拝見する四演目はすべて初見。歌舞伎座でこんなことは珍しいのでいやはや面白かった。おしどりだけは他でも見たこと会ったかも。
 団十郎が大病の後で、何かいろんなものが削げ落とされて良くなった感じがするのは僕だけだろうか。技術だけでなく一役一役大切に演じていることが良く分かるし、良い意味で力が抜けた。ご贔屓の亀蔵が毛剃と神田ばやしに出演しているのだが、何かどうでもいい役柄で勿体ない。
 夕立はとても美しい20分あまりの清元で菊五郎が良い意味で老けていい感じだった。神田ばやしは、目下若手男前歌舞伎役者ナンバーワンの海老蔵が馬鹿者を演じているのが面白い。三津五郎も老け役がとても美味く、最初はこれが三津五郎かと思ったくらい。梅枝って人の女形。最近ちょこちょこ見るのだが、市井の街娘をとても巧く演じるので感心してしまう。おしどりは平成の三の助勢揃いで豪華。もう海老蔵の二枚目ぶりがスゴくてこりゃファンが増えるのも当たり前だって感じ。菊之助が何か一段と良いですね。何かあったのかな?松緑さんは、ここでは相撲力士の役柄なんだけど、こういうのをやらせたら、現役トップのひとりになったなあ。口跡もとても良くなったと思うのだけれどどうなんだろ。
 歌舞伎はいつも大満足させてくれるので、とても嬉しいですな。

2009年5月3日
歌舞伎座

作  故林広志
演出 大森ヒロシ
出演 大森ヒロシ フジワラマドカ 玉垣光彦 武藤心平 ほか




 コントの難しさを露呈していたものだった。故林広志のナンセンスは決して簡単ではないのだ。うまい役者が、いい演出で、普通にやれば断然笑えたり見ているものの気持ちがひねられたりする。それが、なかなか難しい。難しいのだ。今回の出演者ではやはり大森ヒロシとなしおという電動夏子装置システムの女優さんが光っていた。

デュオステージBBS



演出/出演 夏木マリ 
振付 井手茂太 ほか

 チケット代9000円。1時間20分。今まで見なくちゃと思っていたのだけれど初めて見る機会をもらった。ありがたい。会場の雰囲気がいつもの劇場と違う。それぞれの公演に集まる人々はいつも違う。今日は何だろ。でも、明らかに業界の人、ファッション系の人、ダンスの人、モデル系の人、仕事関係の人、ゲイの人、レズ系の人、ドラッグクイーンなどなど、通常の劇場ではあまりいない人たちがいて、それを見るのも面白かった。何しろ会場に入ったら客電が真っ赤。ここは怪しげな飲み屋か!って感じの雰囲気。
 そして、感想をひと言でいうと、カールラガーフェルド!悪食、悪趣味の魅力って奴でした。8人の女性パフォーマーが夏木さん以外に出ているのであります。しかし、女性的なものをすごく剥ぎ取られている人もいて、激しい化粧もあって何か良く分からない。そこに夏木さんがたびたび出てくるのでありますが、マクベス夫人の狂気のようであり、近代能楽集の卒塔婆小町に出てくる老女のようであったり、ランメルモールのルチアの狂乱の場のようであったりで。もう、見ている僕に女性の魅力をみせてくれない。裏の部分とかそういうのばっかって感じで。
 しかし、これが夏木マリさんの印象であり、それを具現化したものであるのだろう。それは透徹されていた。それがカールラガーフェルドの洋服を初めて見たときの印象と同じだった。こんな変態じみた服誰が切るんだ。カールラガーフェルドの姿を見て、何て悪趣味を透徹しているんだ!でも、それがこの人の趣味なんだよな。それとおんなじ印象。ここまでやるか!って感じの。
 


2009年4月4日
世田谷パブリックシアター
原作 ストリンドベリ「令嬢ジュリー」
上演台本 笹部博司 
演出 手塚とおる
出演 純名りさ 貴水博之


 東京においてはtptなどで上演されている令嬢ジュリー。それを95分にぴしっとした二人芝居。これが濃密でセクシーで本質的で分かりやすい。純名りさの美貌は本当にスゴい。もう見ているだけで美しい。前に「ナイン」というミュージカルで見た時もキレイだなあと思っていたが、あの時は女優陣の個性がスゴくて美しいという部分以外に目がいかなかったが、この人の芝居は本当に上手い。そして、この作品にあっていた。相手役の貴水さんも、希代の二枚目であり、何をやっても絵になる。この二人だから許された空間なのだとも思ってしまうのだ。何しろ、物語は恋人同士が御芝居をしようという設定で始まるのだから。
 手塚とおるさんの演出は作品の肝にぐいぐいと迫るし、二人にいろんな空気を造り出すことを求める。そして、それがどんどんと変化していくスピード感。上手い。自分は見ていてこの二人の演者は素っ裸になって演じているなあと思うのだ。きっと自分の中にあるそういう部分をずばっと引きづり出して演じている。一瞬もウソがないし、引き込まれる。
 上演台本の良さも光っていて、笹部さんという人のことを勉強不足で良く知らないのだが、若手で何か新機軸を見つけ出して新しい地平線を見つけ出す人ばかりをたたえる傾向があるのだが、こういう本物の作品に堂々と渡り合うことをしている演劇人を僕は注目したいと心から思っている。今回、観る機会があったのをとても喜んでいるし、ちょっと無理して観に行く価値のある作品だった。

2009年3月23日
赤坂RED/THERTER

ラッパ屋/泪目銀座/双数姉妹

ライブ ラサール石井/山口良一/小倉久寛/beans



30分とちょっと。素舞台でも、ホントいろんなことができるんだなあと改めて思った次第。

ライブの方は、トークにコントにライブとホントに盛りだくさんで楽しかった。


2009年3月21日&27日
THEATER/TOPS
作・演出 :わかぎゑふ

出演
コング桑田 朝深大介 千田訓子 わかぎゑふ 茂山宗彦 八代進一(花組芝居)  奥田達士(劇団M.O.P.) ほか



 大御所わかぎさんの作品なので安心してみられる。個人的に冒頭の部分がちょっと長いなあと思うところもあったけれど、散文詩のような作品にしっとりとした思いに浸れる。奥田さんのおそろしく挑戦的なシーンがスゴく、リリパの役者陣、特に若手を中心に見事な演技がスゴい。リリパの女優は粒ぞろい。八代進一はやはりスゴい。何をやってもスゴい。コングさんの前説で会場は暖まり芝居が最初から楽しくなる。

2009年3月19日
ザスズナリ
作演出 松村武
出演 八嶋智人 松村武 ほか



 1ヶ月という短い期間でエチュードから立ち上げた作品だという。この数年の松村作品と比べるとずいぶんとみやすくなっているが、作品は役者力に頼っている部分も少なくなく休憩を入れて2時間20分という長尺。松村武の意思が貫徹されると、時に作品は難解になる。松村は野田秀樹を薫敬しているのは良く分かるのだが、野田作品の明快さと思想性、そして、言葉の美しさよりも松村は肉体をもっと重要視しているように思えるのだが。
 今回は分かりやすい作品なのだが、場面ごとの役者間の関係性に引きずられ、作品の流れに時々問題が起こる。エチュードで立ち上げのであれば、時間を十二分にかけて、最終的に作品に作り上げる作業を作家がやり遂げる事が必要なのだと改めて思った。
 新人6人が入ったことが作品作りに大きな影響を与えると面白いのになとファンとしては思うのだ。次回は創立20周年という。新しいカムカムの作品を見たいと思う。

2009年5月2日
シアター1010
作演出 福原充則
出演  六角精児 吉本菜穂子 宮崎あおい



7000円は高いのではないか?そう思っていたけれど、とても素敵な御芝居だった。何しろ俳優の魅力が前面に押し出されていた。疾走する話。重層的にいろんなことが起きていく。劇場の空間が自由に解放されていているのはいいなとおもった。

2009年2月27日
横浜BLITZ
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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