佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 演劇 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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演出 ルパートグールド
脚本/音楽 ライオネルバート
出演 ローワンアトキンソン




 今回ロンドン行きを決めた最大の理由がこれ。Mr.ビーンことローワンアトキンソンがあの名作ミュージカル「オリバー」でスリ団の親玉フェイギン役をやるときいたからだ。どちらかというと声も出さずに笑いを取ったミスタービーンと真逆。唄って踊って。それも、イギリス人にとって誰もがしってる最高のエンタティメント作品である「オリバー」。今までに多くの名優がやってきた。このプロダクションは1994年のマッキントッシュ版。この初演は、「ミスサイゴン」のエンジニア、映画なら「未来惑星ブラジル」「カリブの海賊」などなど山ほどでているジョナサンプライスがやった。このプロダクションのシンガポール公演も見ているので3回目。しかし、今回は格が違った。出演者の意気込みが違う。決定版にしてやろうという意気込みがスゴい。もちろん12月12日に開幕して10日も経っていないタイミングでみたということもあるだろうけど、いやあスゴかった。ローワンアトキンソンは、元々の台本に忠実であるが、彼自身のオリジナルなギャグも付け加えていた。自分が隠しもっているスリでの戦利品を眺めるシーンでティアラを身につけたり、オペラグラスを出して、1階席を見ながら「おお、このオペラグラスがあれば、私は金持ちが見える」。3階の天井桟敷を見ながら「今度は貧乏人が見える」とやって大受け。これ、よく中村勘三郎さんがやるギャグだけど。古今東西一緒だなと思った。とにかく唄って踊って、動いて面白いのだ。天才ってこれだなと思った。
 もちろん他のキャスト、特にナンシー役のJodie Prengerも良かった。それにしても前に見たときを印象が違うなあと思っていたら、どうも演出が違うし、振付けもあのマシューボーンになっていた。そりゃ違うや。ロンドンに行く機会があったら是非見てもらいたい。



誰かが3階席から隠し撮りした違法映像ですし、画像が悪くてほとんど分かりませんが、ローワンの見事な歌声をきいてもらえます。きっと直ぐに削除になってしまうと思うので、すぐにどうぞ!

12月20日 ドロリーレーン劇場(ロンドン)
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作詞/作曲 スティーヴン・シュワルツ
脚本 ウィニー・ホルツマン
原作 グレゴリー・マグワイア
演出 ジョー・マンテロ

 この数年でもっとも感動した舞台作品のひとつが「ウィキッド」だ。2008年4月に劇団四季の舞台を観て驚いた。音楽、美術、ストーリー。何から何まで完璧な作品であり、現代的なのだ。誰が見ても楽しめる究極のエンタティメントであり、社会に対して牙をむき出すような強いメッセージ性もある。僕がいつか生み出してみたいのはこういう作品なのだ。
 ロンドンに行ったので見た。早くブロードウェイバージョンも見たい。オリジナルキャストで見られないのは残念だがとにかく見ておきたい。ロンドン版を見て思ったのは、ロンドンもオリジナルキャストではないので仕方ないのだが、劇団四季の水準の高さだ。アンサンブルの高さはもちろん、個々の出演者のカリスマ性まで一歩も譲らない。特に四季バージョンの表キャストで見たときは圧倒的だった。僕はミュージカルはとにかく音楽が良くないとダメなのですが、この作品は完璧です。緑の肌のエルファバをもってきて、アメリカの人種差別やマイノリティ差別、そして、それを越えるのはきっと法律とかじゃなくて、人が心から変わること。人を愛することでしかないことも訴える。きっと、それは、社会に突きつけられた問題でもあるのだけれど、ひとりひとりに突きつけられた問題なのだ。それをドかーンと示す。さらに、オズの魔法使いの単純な善悪の関係をひっくり返す。
 物事を単純に見ないことの大切さをも訴える。同時多発テロの後の異常なアメリカ社会に牙をむいた作品だったのだ。






こちらはトニー賞授賞式のときのパフォーマンスです。


2008年12月20日 アポロ劇場(ロンドン)

やっと見たニューヨーク版のウイキッド。もちろん素晴らしいのだけれど、エルファバの歌唱の迫力がいまひとつだった、技術的な問題よりも気持ちの込め方なんだと思った。最後のひとかけらが足りない感じなのだ。まあ、オープンして6年近く経っているわけで仕方のないことなんだけれど。

2009年1月21日 ガーシュイン劇場(ニューヨーク)





 この数年で見た最高にごきげんなミュージカルといったらこれ!ニューヨークに行った時に、半額チケットでまあ見とこうかくらいの気持ちで観に行ったら最高に面白くて笑った笑った。音楽が最高にいいんです。メロディがキレイでユーモアに富んでいて。こういうのを生み出したい。心から強く思います。ロンドンでやっていたので観に行きました。こちらでも大受け。もう自分で批評とか書くレベルじゃないです。最高です。大人が見て面白い知的でユーモア溢れる、でも人生についてちょっぴり考えさせられるポジティブ指向満載の作品です。ぜひご覧あれ!日本人も大活躍しますよ。




2008年12月19日
ノエルカワード劇場(ロンドン)



BBCのチャリティ番組の映像ですがセットなどはほぼ一緒。冒頭のシーンで会社をクビになったり、恋が上手く行かなかったりで、ホントはコメディアンになりたかったんだけど、もう32歳!「ホントに嫌になった」と唄うシーン。



同じシーンですが、こちらは本家ブロードウェイヴァージョン。トニー賞の時のスペシャルパフォーマンスです。ここで出てくる日本人役の女性。ブロードウェイでもみましたが、最高に受けていました。ぜひこの人を見てもらいたくてアップしました。


 きっと隠して誰かが撮影したのでしょうね。インターネットはポルノ!と決めつけて唄う、最高に楽しい唄。

ウイリーラッセル作



 僕がロンドンに住んでいたのはもう17年以上前になる。その時やっていた芝居で続いているものは少ない。ミュージカルでは、ファントム、レミゼ、そして、これである。20年もやってるのに、何かいつも面白くなさそうで見て来なかったのだが、今回とうとう見た。途中から飽きた。
 何で潰れないのだろう。客も大して入っていないし、僕もそうだが他の人も半額チケットだろう。きっと運営コストが安いのだ。出演者も多くないし、バンドの人数も小編成。きっとそういうことだろうと思う。貧乏で子だくさんの母親が、生まれた双子の独りを自分が手伝いをしていた家に預けるが二人は友達になり最後は同じ日に死ぬというそれだけの話。母親が唄う主題歌は良くできているが、アレンジも曲調も80年代を感じさせる。まあ、これだけやっているのだから一度はね。


2008年12月18日
フェニックス劇場(ロンドン)
ハーマスタイン&ロジャース 作詞作曲
アンドリューロイドウエッバー プロデュース

 わざわざ「サウンド」を見たのかというと、これをあのアンドリューロイドウエッバーがプロデュースして新制作したからだ。前に別所哲也さんからも面白いよと薦められていた。主役のマリアをテレビオーディションで選んだというのも話題だった。
 見て面白かった。元々の舞台版は1950年代の終わりに作られて、1965年にジュリーアンドルーズで映画化された。舞台版で使われた曲が2曲くらいカットされ、新たに映画版に曲が足された。例えば、「自信をもって」というマリアが教会からトラップ家に行く時の唄だ。映画はオーストリアの美しい風景をともにマリアの魅力を伝えた。舞台ではどうやるんだろ?
 驚いたのは冒頭の名曲サウンドオブミュージックも物凄く大掛かりな仕掛けで野原を駆け回るマリアを舞台で創りだしていた。アンドリューロイドウエッバーは映画を見て、映画の「サウンド」を愛している人がこの舞台を見に来るのだと肝に銘じて本当に新しく作り上げた。だから、映画で使われた曲はすべてあるし、実は映画ではカットになった舞台のみの曲も残した。物凄い数の曲があるのに全部使い、そして、2時間半で終わる。ちなみに映画は2時間50分もある。
 唄の数は多い。舞台。それなのに、休憩を除くと実質2時間ちょいで終わる舞台。唄でつないでいくのだが、処理が見事で何か駆け足感がない。全体的にアップテンポで曲は進むのだが今の時代にあっているんだろう。直ぐになれてしまう。子供たちがはすっぱに見えたのは頂けないし、トラップ大佐が上手いのだけれど歳を取りすぎていて気になったけれど、観客の多くが、昔を懐かしみ、子供たちは楽しみ、誰もが納得していた。アンドリューロイドエッバーの力を感じさせてくれた作品だった。舞台の装置は美しく、イメージは壊さず、新たな部分もたしていた。これはできそうでできないことなのだ。最後に一家は山を登って行き終わった。 




2008年12月17日
ロンドンパラディウム劇場

テリージョンソン演出
ジョシュハートネット アダムゴッドリー ほか出演






 ダスティンホフマンとトムクルーズ出演の傑作映画「レインマン」の舞台化だ。「ブラックホークダウン」「パールハーバー」「ラッキーセブン」「ハリウッド的殺人事件」。ハリウッドの売れっ子二枚目のジョシュハートネットが舞台に挑戦。ニューヨークでやって酷評されるのが怖いからロンドンでやったのかなあと思うくらい芝居が単調だった。もう、思い詰めて怒る。その繰り返し。トムクルーズのように、怒りや焦りが増して行ったり、とか変化がない。ワンパターン。映画俳優は怖いなあと思った。
 その点、ダスティン役のゴッドリーは、ホントに面白く上手かった。近作は映画版の「Xファイル」、「チャーリーとチョコレート工場」では、ジョニーデップと渡り合った実力派だ。「I
dont know」という台詞を100回くらいいうのだが、全部違って聞こえる。気持ちが込めらる。芝居は終始アダムゴッドリーがリードし、お客さんも途中からアダムのことを見るのである。台本がいいので、面白かった。しかし、ジョシュのもっているカリスマ性というかスター性には叶わない。お客さんの多くはジョシュハートネットを観に来た女性ばかりで、ジョシュのラブシーン、特に上半身裸になったりすると、もうキャーキャーいい、写真を取るのである。何だこれ?と思うくらい。芝居中は写真撮るな。ちなみに半額チケットで見ました。



稽古場より
2008年12月16日
アポロ劇場(ロンドン)
ケラリーノサンドロヴィッチ 作/演出
高橋克美 渡辺いっけい 余貴美子 ほか 出演




夏目漱石的な人間関係のそれを書くんだろうと思っていた。このごろのケラさんは純文学だから。ところが、この日の僕は体力も集中力もなかったのだろう。何かきちんと見られなかった。というよりも長く思えたり、何だろこれと思ったり、すっかり分からなくて、ああ、演劇を見る時は体力も必要なのだと思ったのでありました。山西さんは面白く楽しかったし、柄本佑もうないなあと思ったし、もちろん赤堀さんはあの中年感はなんだと思ったし、渡辺いっけいも高橋克美もやっぱり良かったんだけど。余さんは色っぽいし、高橋ひとみは女を前面に出していて素敵だったし。

12月14日
世田谷パブリックシアター
平田オリザ 作演出
永井秀樹 ほか 出演



 先ず申し上げておきたいことは、面白い芝居なのである。70年代から80年代の空気も感じられた。しかし、この前のマレーシアのサナトリウムのそれもそうだけど、今回の作品にも都市の空気がまったく感じられない。イスタンブール?大学の学生寮のような感じ。芝居は面白いし、演出で敢えてそういった場所の記号を取り払ってやっているのだ。普遍的な話にするために!そう思ってしまえばいいのだが、例えば、アテネから来た男、アフガン地帯を抜けて行くべきかどうか悩んでいる青年。東京からアテネ経由でやっと夫を探し当てた女性。そういう人たちにとってのイスタンブールってどういうところなんだろ?30年くらい前のイスタンブールは知らないが、80年代終わりのそれは知っている。いまのイスタンブールとは全然違う空気があった。あそこに日本人が行く。それは、いまのように簡単にふらっといくのとは違うのだ。街には緊張と粉塵と…いろんなものがある。それを背負ってこの部屋に入ってくる人が独りもいない。それが、何か狙いなのかもしれないけれど、不満だった。



12月6日
こまばアゴラ劇場
宮藤官九郎 作/演出
峯村リエ 池田成志 伊勢志摩 荒川良々 ほか 出演



 勝ち組っていいなあ。もうホントに好きなこと、バカバカしいこと。すっ飛ばしたり、しつこくやってりしても、もう素晴らしい俳優とスタッフが全部面白くしてくれるのだ。面白いとも思ったけれど、何だこれ?とも思ってしまった。嫉妬なのかなあ。


本多劇場
2008年12月5日
作演出 横内謙介
出演 岡森諦 岡田達也 伴美奈子 有馬自由 ほか


 横内謙介が直球で大人のドラマを劇団本公演用に書いた。建設業者と小役人との収賄の世界を取り上げるとは!それが面白い。悪口を言う人はお客へのサービスの部分が笑えない!などと言うのだが、先ずは岡森と有馬と岡田の主役3人が面白い。そして、有馬と犬飼という二人がいて、収賄されてしまうのとされないままの描き方が見事。それにしても扉座のアンサンブルのすごさ。今回は出来事をちょっと距離をおいてみている中原三千代さんが物語を本当に面白いものにしていたと思う。スゴいなあ。ホントに!



2008年12月2日
紀伊國屋ホール
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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