佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 演劇 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
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 作・演出・美術・出演 リンゼイケンプ

 ああ。精神だけが残ってそれを完璧に表現する肉体はもうリンゼイケンプにはなかった。彼が空に表現する面白さの残像を見ながら彼のやりたかった完成計を想像しながら観劇。面白いアイデアはいろいろとあるし、イギリスの変なところと面白いところがごちゃ混ぜになっているのも良かったけれど、いやはや。カンパニーの水準は高いのですが来日前にほとんどのキャストが変わったのは何かあったからなんでしょうね。




 2008年10月13日
 シアターコクーン

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作・演出 中屋敷法仁
出演  深谷由梨香 玉置玲央 七味まゆ味 中林舞(快快) 佐藤みゆき(こゆび侍) 須貝英(箱庭円舞曲)武藤心平(7%竹)ほか38名



 初見の劇団。出演者に誘われて拝見。とにかく38名も出ているのである。1時間45分、いろんな力量とバックボーンの38名の役者を巧みな演出で飽きずに観させてくれたことは特筆に値するといっていいだろう。何しろ一番年上がダントツで武藤心平なのだ。完全に新世代。それだけでいいじゃないかと思ってしまう。客席を見ていると面白がっているところと、ぽかーんとしているところと、明らかに気持ちがアレレになっている人と別れている。それも、それでいいのだと思う。
 一見すると、野田秀樹の芝居のようでもある。役者は頻繁に出入りし、ハイテンションで動き回る。叫び続ける。うまい役者は舞台上に腰を据えて中軸を担う。この芝居は1時間45分のハイテンションを要求するので、そのテンションが途切れてしまいそうなものは、すぐに引っ込んで行く。上手い方法だ。何しろ立っているだけの時に素になってしまっているひともいる。大勢いれば目立たないが少人数だとやばいのだ。そういうことを巧みに計りながら演出をつけていくところはさすがである。勉強になった。
 自分が注目すべきと思った役者で名前が分かったのは上述の人たちだ。女の子たちは存在感もあるし見栄えもいい。七味さんはアルトの感じで、20代も面白いが30代が楽しみな女優。深谷さんは美女で、メイクで顔をぐちゃぐちゃにしたり、きわどい台詞をいっても汚くない。ずるいなと思った。二人とももう少し台詞がはっきり聞こえたらなお良いのになと思うが、きっとこれからドンドン上手くなるのだと思う。玉置君は前に見た客演のときも存在感があったが、今回はさらにあった。この男が舞台の中央にいると、こんな話ありかよ!と思える設定も何となく受け入れてしまうのだ。笑いのセンスもありそうだし、身体能力もある。ほとんど全裸になっても鍛えているのが良く分かった。3人とも若さ爆発でありました。武藤心平は相変わらず上手い。おいしいところを作りさらっていく。偉い。
 野田芝居のようだと言ったが、その世界観の大きさはまったく違う。若いからか。そう、25歳くらいの若者が書いている作品らしい。もうなにも言うまいって感じだ。若いセックスに無限の興味のある世代が、興味の枠組みをセックスで固定化して、その中で遊んでいるのだ。面白いじゃないか。
 

 

 2008年8月28日
 吉祥寺シアター

第二部 つばくろは帰る
    大江山酒呑童子
第三部 紅葉狩り
    野田版 愛陀姫

中村勘三郎 坂東三津五郎 中村橋之助 中村福助 亀蔵

 第3部のアイーダはそれは楽しみですが、紅葉狩りの風情が素敵ですよね。そして第二部も。夏の歌舞伎座は楽しみに満ちています。



 歌舞伎座まで行くのが面倒なので、2部3部と続けてみた。ちょっと強行軍すぎるかなと思ったのだけれど、全く杞憂だった。いやあ歌舞伎っていいですね。
 二部の「つばくろは帰る」は分かりやすい人情もの。夫婦愛、親子愛に加えて旅路で富士山も京都も観られ、そう、京都のシーンなどは舞妓さんも出てくるし、筋はしっかりしていて無駄がない。景色が変わって飽きさせない。配役も適材であった。勘太郎はここでいなせな江戸の職人をやっているのだが、すぐ次の幕では山伏役、そして、3部では女形に化物、野田芝居までやるといった具合にものすごい活躍。見ていない1部でもやってるんだもんな。そして、今まで気がつかなかったが勘太郎の後輩役の坂東巳之助子が見ていて気持ちいい。この人も、山伏、紅葉狩りでは山神役と大立ち回りをするわけで。歌舞伎役者の体力、技術力、センスはスゴい。ホント小劇場の役者で誰が立ち向かえるのかと思ってしまう。ホント稽古をしなくちゃななあと改めて思ったのであります。子役も上手く使ってホントにこれぞエンタティメント。
 「酒呑童子」は串田さんが美術を手がけたのが話題だがモダンだった。ワーグナーのオペラのようなシンプルさ。舞踏が中心であるがケレンミたっぷりに仕掛けがあって、観に来たお客さんも大満足だろう。
 三部の紅葉狩りは、三津五郎を始めとする役者がそこそこ長い踊りを見せて行くわけだからお楽しみ。僕の大好きな亀蔵さんの踊りも観られてホントに良かったです。
 そして、話題作「野田版 愛蛇姫」。先ずは細木和子と江原啓之を実名を出して徹底的におちょくるのが面白い。それを扇雀さんと福助さんにやらせてしまうのが嬉しくて。勘三郎さんはどんな役なのかと思いきやアムネリスでした。それも哀しいアムネリス。アイーダの曲やマーラーの5番のアダージョが演奏される中一気に物語は進んで行く。野田芝居の時は演じている役者さんが楽しそうでホントにいいなあ。絵巻物のように紙がくるくる巻かれるところや、合戦場面を芝居から映像につなげるところなど、従来の歌舞伎座では観られないものも山ほどあって大興奮。
 きっとこれやりながら出演者は9月の芝居の自主練もやっているのかと思うと脅威ですね。それに遊ぶわけだから。久しぶりの歌舞伎座でまたも圧倒されたのでありました。
 8月の歌舞伎座は、伝統に根ざしていながらも、新しい息吹を感じさせるものであります。美術も衣装も音楽も。新春の浅草や国立劇場がホント歌舞伎を継承することとか、歌舞伎役者のための公演に偏りすぎることがあるけれど8月の歌舞伎座は素晴らしい。大満足。



2008年8月26日
歌舞伎座



とてもいいキャストが来日するそうです。ブロードウェイでいま芝居をみると11000円くらいします。ニューヨークまで交通費とホテル代を使ってみることを考えるとホントに激安です。さらに日本語字幕付!これは是非とも見た方がいいブロードウェイのダンスの最高峰のひとつです。


…と思いながら観に行きました。正直がっかり。ダンスの上手い人が踊っているが、ブロードウェイの一流ダンサーの本領発揮とは言えないよなあ。きっと。1930年代のジャズとダンスとギャグと芝居を、そのまま再現しただけのレビューという感じだ。
 若干あるとすると、早めにやってるって感じなのかなあ。
 9人のバンドがジャズやって、客に媚びうる笑顔でダンサーが出てきて、ボックス踏んで、難しいステップや、アクロバット的なこともやって、盛り上がって音楽が終わると同時に暗転。そして、ちょいとした小芝居に、昔ながらのボーカル。音楽、ダンス、決めて、暗転。
 この繰り返し。2時間。 飽きた! 12000円高いなあ。

 30歳くらいまでの女性で喜んでいる人もいましたが、基本的にはこう言ったジャズで青春を謳歌した定年退職後の夫婦が客には多かったですね。ノリノリ。まあ、そういう人にとっては新鮮でスゴかったんだと思いますけど、もっとスゴいのを山ほど見てますんでコチトラ。こんなスカスカパフォーマンスじゃ感動のカの字もないどころか、カネ返して欲しいと思うくらい。
 
 まあ、ニューヨークでの貴重な観劇でなく東京のそれだったのだから良しとしましょう。
 

オーチャードホール
2008年8月24日
作演出 長峰明

 テレビのバラエティと吉本コントの巨匠が小劇場界で地道に活動していることはあまり知られていない。前回に引き続き今回も伺っていっぱい勉強させてもらえればと思っています。



 前回公演がきちんと美術セットを組んでの公演だったのに対し、今回はホントに素舞台でほとんどなにも美術がない形での公演だった。夢、恋愛、エイズ、ドラッグ、ブロードウェイ…。ニューヨークでイメージする多くのアイコンを随所にちりばめた青春物語だった。こうした観客の期待を裏切らないこと。さらに、登場するアイコンに関してもきちんと説明して行くところ。長峰朗氏の手堅さを実感させる公演だった。出演者では、田村通隆がステレオタイプのアキバ系というちょっと間違うと本当にヤバいキャラ芝居をやり通したこと。大勝みゆき、五来英顕、屋良夏美、関口剛らが誠実に舞台に対峙していたのが好感。

2008年8月21日マチネ
下北沢劇小劇場
演出
出演 斎藤晴彦 上川隆也



 ゴシックホラーの二人芝居の傑作としてロンドンで20年近く上演され、日本でも斎藤晴彦さんが初演から演じ続ける人気演目。拝見しました。拝見したのですが、なぜか僕はこれミュージカルだとカンチガイしていたのです。そういうモードで行ってしまったのですから、拍子抜けして何かはぐらかされた感じで。斎藤晴彦さんはメチャクチャ抑制の利いた演技でみせてくれます。私は俳優ではありません!と言い続けるのに俳優になっていくギアチェンジの入れ方などがとてもスゴく!今年は放浪記で渋い演技を拝見し、こちらも代表作だから見ておきたいと拝見したのですが…。僕的にはやはり黒テントでの斎藤さんが一番いいなあと思った次第。
 作品はきっと面白いのだと思うのですが、今日は何か疲れきっていて二幕などは退屈してしまうときも。いつかもう一度きちんと見たい作品となってしまいました。


PARCO劇場
2008年8月17日
「劇団青山隆之」 『バスタオル』 



 東京タンバリンの青山隆之が半年前に旗揚げ。実は青山は元芸人。長年の思いをぶつけた台本。小劇場的であって小劇場ではないコント。コント、コント!稽古を観に行ったら面白かった。短編コントを小劇場界やお笑い界の実力者が競演!
 

  CAST)加瀬澤拓未(ロリータ男爵)、佐藤需、
       高畠俊(ワタナベエンターテイメント・わかたかさん)
       若井佑(ワタナベエンターテイメント・わかたかさん)、芳賀晶(熱帯)
       福田高徳(メタリック農家)、藻田留理子、吉田麻生(むっちりみえっぱり)
       匁山剛志、杉森雅也(ナイスコンプレックス)、青山隆之

 感想 芝居は70分。さーっと駆け抜ける。どんなことしてでも笑わせてやるという気持ちよりも、70分心地よい気持ちでいてもらいたいという品のいい精神にあふれた芝居でした。

 場所:新宿FU- 

 前売・当日2100円  

 平日だらけなのにマチネありまくりの無謀な日程も自信の現れか?

8月12日(火)19:00
  13日(水)16:00 19:00        
  14日(木)16:00 19:00 

http://ameblo.jp/aoyamatakayuki-jp/
ウィリアムシェイクスピア作
西沢弘治演出

 小劇場界の名うての役者を集めて上演する夏夢。最近とみに聞こえてくる演出家西沢さんの手腕を観るのにこれほど適したテキストと場はないのではないか?誘って頂いたこともあり喜んで参上したいと思う。



「夏の夜の夢」はさまざまな演出で見ているが、一番印象に残っているのは、まだこの作品についてほとんど分かっていなかった時代にロンドンで見た、RSCのトレヴァーナンの演出ではないかと思う。とにかくファンタジー、とにかくスピーディ、でも、良く分からない英語の台詞が舞台上から跳んできた。日本では昨年の新国立劇場でのジョンケアード演出版が印象深いが、それこそ、90年代にベニサンピットで見た蜷川幸雄版の初演や、7年くらい前に見た柄本明さん演出の東京乾電池の夏夢ーそれは正月に見たのだがー面白かった。加納幸和さんが日生劇場でやってみたり、そうそう、小林顕作が池谷のぶえや峯村リエ、みのすけさんたちと、MAというジャニーズを中心に木野花さんの演出ってのも見たなあ。映画では、ソフィーマルソーやケヴィンクラインが出演したアメリカ映画もありました。
 いやいや、出かけてみたら「夏の夜の夢」かよと思ったものもありました。まあ山ほど見てきているわけです。
 さて、今回の西沢バージョンを考えてみたいと思います。別に正しい指摘かどうかは分かりません。あくまでも感想です。この上演の特長は、本来ならば3時間以上かかってもおかしくないこの作品を90分程度にまとめたところ。山ほどカットした。今風のギャグを入れ込んだり順番を変えてみたりいろいろです。これは物語をすっきりさせるためには、悪くないアイデアです。そして、それはかなり成功していました。
 しかし、個々の演出プランには疑問の部分も少なくないのです。西沢さんの古典に対するアプローチの仕方が分からなかった。先ずは、全体の設定が良く分からなかった。例えば蜷川幸雄さんのそれであれば、石庭の中で行われる芝居、日本の世界に引き込んだ。加納さんのそれであれば、神社の中での和の世界にした。天狗が出てきたりするわけです。木の花さんのそれは、もう写実的に森の中できちんとやった。設定を置き換えるのは何ら抵抗ありません。もうオペラの世界で山ほど見ているからです。しかし今回は、まず舞台を観ると、藁敷が山ほどかけてあ大きめなホームレスの住居(それならブルーシートだよね)にも見えるし、何かの陣営みたいなところにも見える。途中でリヤカーが出てくるので、時代はそう古くないんですよね。そうなるとああいう場所が分からない。
 設定や美術はどうでもいいとしましょう。素舞台のかわりに藁にしてみたっていう理由でもいいとしましょう。しかし、出てくる人たちの衣装も統一感がないんです。ある人は現代風の服を来ていたり、非常に貧乏な感じだったり、おしゃれな服装だったり、それは統一感がとれていません。役名がそのままだったことを考えると、未だに何でああいう美術にしたのかが分からないのです。いっそ、真っ白でも、真っ黒な素舞台でもいいから意味のないものにして、そこでこの芝居を稽古する俳優たちっていう設定でも構わないんです。何かそういうところをきちんとやってほしかった。
 でも、そういうこと以上に気になったのは台本へのアプローチです。例えば職人の芝居を安っぽくしていた。シルビーを最も太った人にデンスケみたいな化粧をさせ、分かりやすく言えばフルートにオカマ芝居をさせて笑いをとるわけですね。日本の歌舞伎できちんとした女形がいるように当時のイギリスもきちんと男が真面目に女をやっていたわけです。元々はきちんとした芝居であったものを、変な風に気を回し、それでも一生懸命やっているのが面白いという風にしてもらえたら、原作の味わいも伝わった上で面白がれたと思うのです。あれでは、オカマ芝居で笑いを取っているだけで原作の味わいは消えてしまいました。さらに、パックが妖精というよりは、小悪魔のように見えてしまうんですね。いたづらも悪意をもってやっているという風にしか見えない。今までの解釈で悪意をもってというのは見たことがないので戸惑いました。公爵やオベロンたちも若すぎて可哀想です。タイターニアは何かゴシック&ロリータ風で意味合いが良く分からないのです。こういう問題を解決するためにも、設定が大切なんだと思うんですよね。でも…そう言う中で良かったのは予想通り、京極圭と江原里実さんでした。江原さんは例の若者二組の中にきちんと佇まいながらも台詞が台詞にならずにきちんと自分の言葉になっているんですね。例の演劇的っていうか、宝塚的な台詞の大仰な言い回しがあるじゃないですか、それを連発する人もいるわけです。連発して台詞がテキストを様式化して言っただけでは芝居ではないわけです。江原さんはその大枠の中にありながらも、きちんと台詞として生き生きとしていたのです。これは大変なことです。
 相手役デミトリアスをやった京極さんは、本来のイメージからはちょっと違う役回りでしたが、それを自分のものにして演じきっていました。妖精たちは、カラシの精は面白かったし、ライサンダーも爽やか一生懸命走ります的な演技で好感がもてました。全体として役者さんたちの力量はあるのですが、それでも差があったかなあという感じです。ゴメンナサイ。

 まあ、いろいろと申し上げましたが、いろんな俳優さんがいるカンパニーで、全体として何しろ90分にまとめてくれた手腕はたいしたものだと思います。見に行って良かったです。


赤坂REDTHEATER
2008年8月10日

作・演出 青木豪
出演 荻原利映 星野園美 ほか


 短編というのは本当に難しい。今回も各シーン15分程度であるから、本来は、始まった瞬間に、空気を作り、見た瞬間に状況が分かり、クライマックスが始まらなくてはならない。各々のシーンは完結しているし、短編集のように見えるが、実はこの作品は一本の作品として統一されている。前の話での登場人物の設定などを引っ張って作品に登場するのである。だから、短編集のような…とあるが、まさにその通り。しかし、各々のシーンはある意味で登場する人物たちにドラマが起こり、その関係性の新たな地点へは到達しており、そういう意味で各シーンで完結している。
 これは演劇を書く時に各シーンについて作家が考えることである。それをもう少し色濃くだし、象徴的に各シーンに大きな句読点をうったという感じなのである。
 しかし、この作品をこうした、作品のスタイルで論じる必要はない。結果として面白くできていて、それが大切なのだ。短編集であることをくっきりさせるために、スゴく役立っていた各シーンをつなぐ萩原さんのシーンがなければ、普通のお芝居のようにも見えたのかもしれない。ただ、それにしては、各逸話の間にもっとつながるものがある必要があるのかもしれない。
 いづれにせよ、この体裁をとった青木豪の美味さである。星野園美が美味く笑いを取っていたのが印象的。一方でグリングチームはひたすら寡黙に作品に取り組んでいた。ゲストと劇団員の違いがここにあった。


下北沢ザスズナリ
2008年8月8日
作演出 マキノノゾミ
出演  劇団MOP





マキノノゾミの新作は、まるで大河ドラマを見るような何十年もの間の男女の愛の物語を丹念に折込んだ。それを美しい舞台美術。美しい照明と音楽。そして、誰もが認めるMOPの素晴らしい俳優陣、アンサンブルによって織り上げられた美しい絨毯のような手触りのする素晴らしい佳作となった。小市慢太郎と三上市朗、そして、美しく華のあるキムラ緑子の3人を軸として、笑いありアクションあり、そして、場面転換も早く、ホントに見事に展開して行くのだ。2時間35分。途中10分の休憩。ラスト3作のMOP。この作品を見ると本当に解散してしまうのかとまた問いかけたくなる。特に小市とキムラの見事な演技は忘れ難い印象を与えるだろう。舞台は戦争中の上海、1959年の京都の撮影所、そして、1980年頃の都内の老人ホームを中心に時空をいったりきたりしながら展開する。最後に全ての物語の始まりが示されて幕は降りる。物語を分かりやすくするためだろうか、説明台詞が多めであるが、それはマキノのこの作品に対する愛情の深さだと思う。
 お目当ての岡森諦さんの出番があまり多くなかったのが残念だけれど、僕は岡森諦がなぜ、MOPをこれほど愛し劇団員のように一緒に活動するのかが良く分かる。ここにはエンタティメント芸術創造の素晴らしい現場があるからだなのだ。それでも、見るのが心配だ。という方。もし、ご覧になって全く面白くない、お金を損した、つまらないというのであれば、お代は私がだします。興味のある方は事前に私までご連絡下さい。

2008年8月7日
紀伊国屋ホール
紀伊国屋ホール
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プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
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