佐藤治彦のパフォーミングアーツ批評 忍者ブログ
自ら演劇の台本を書き、さまざまな種類のパフォーミングアーツを自腹で行き続ける佐藤治彦が気になった作品について取り上げるコメンタリーノート、エッセイ。テレビ番組や映画も取り上げます。タイトルに批評とありますが、本人は演劇や音楽の評論家ではありません。個人の感想や思ったこと、エッセイと思って読んで頂ければ幸いです。
[11]  [12]  [13]  [14]  [15]  [16]  [17]  [18]  [19]  [20]  [21
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

指揮:ファビオ・ルイジ
PMFオーケストラ
ヴァイオリン:デイヴィッド・チャン
チェロ:ラファエル・フィゲロア

曲目
ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲
R. シュトラウス:アルプス交響曲

「音楽を聴く幸せを満喫できた夜」
 二重協奏曲はなかなか聞く機会のない難曲だが味わい深い名曲である。ソリストはMETのコンサートマスターと首席なのだが、あまり個性があるというよりも、無難に演奏している感じである。ブラームスの音楽とは?と難しくきくといろいろとあるのだろうが、このオケは若く音楽を演奏する喜びを発散させて演奏してくれる。マエストロの意図を何とか十全に表現しようと必死である。それが、真摯な演奏につながって聞いていて嬉しくなってくる。ああ、こういう態度必要だよなと思わせてくれるのである。
 特に後半のアルペン交響曲は素晴らしかった。一流の演奏である。将来、ここから次世代のオーケストラの中核となる逸材が出て来るのだろう。野村証券は22年前に始めたこのフェスティバルは花開き、日本が世界の音楽に貢献する素晴らしいものとなった。社会貢献とはこういうことである。
2012年7月30日@サントリーホール
PR
●海外で活躍する日本人バレエダンサー★

菅野茉里奈★(ベルリン国立バレエ団)/ライナー・クレンシュテッター(ベルリン国立バレエ団)「アダージェット」 振付:R.ツァネラ

佐久間奈緒★(バーミンガム・ロイヤルバレエ団)/厚地康雄(新国立劇場バレエ団)「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」 振付:G.バランシン

菅野真代★(ディアブロ・バレエ)/ローリー・ホーエンスタイン(ジョフリー・バレエ)「Age of Innocence」パ・ド・ドゥ 振付:E.リアン

高橋絵里奈★(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)/ズデネク・コンヴァリーナ(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)「ドン・キホーテ」パ・ド・ドゥ

田北志のぶ★(ウクライナ国立バレエ団)「瀕死の白鳥」

藤井美帆★(パリ・オペラ座バレエ団)/ヤニック・ビッタンクール(パリ・オペラ座バレエ団)/グレゴリー・ドミニアク(パリ・オペラ座バレエ団)
「白鳥の湖」より“黒鳥のパ・ド・トロワ”(R.ヌレエフ版)


●新国立劇場バレエ研修所修了生◎
伊藤友季子◎(牧阿佐美バレヱ団、第1期修了生)/中家正博(牧阿佐美バレヱ団)「ロメオとジュリエット」バルコニーのパ・ド・ドゥ(A.M.プリセツキー版)

小野絢子◎(新国立劇場バレエ団、第3期修了生)/八幡顕光◎(新国立劇場バレエ団、第2期修了生)「海賊」パ・ド・ドゥ

本島美和◎(新国立劇場バレエ団、第1期修了生)/マイレン・トレウバエフ(新国立劇場バレエ団)「ライモンダ」パ・ド・ドゥ(牧阿佐美版)


●サンフランシスコ・バレエ学校 Trainees 「Spinae」 振付:M.サッチャー
振付は、自身もサンフランシスコ・バレエ学校出身のマイルズ・サッチャー(Myles Thatcher)。研修生時代から研修公演等で作品を発表している。2012年1月には、サンフランシスコ・バレエ団とサンフランシスコ交響楽団(指揮:マイケル・ティルソン・トーマス)による、ドビュッシー「聖セバスチャンの殉教」の振付を担当した。

●新国立劇場バレエ研修所修了生・研修生 「Triptyque~青春三章~」(トゥリプティーク) 振付:牧阿佐美



「新国立バレエ団のガラ公演の様相」
 吉田都といった大スター以外にも海外で活躍する日本人バレエダンサーはいる。彼女らと新国立バレエ団の日本人プリンシパルを中心としたガラ公演。新国立バレエ団の研修生や修了生の踊りから始まったのだが、これから伸びていくのだろうけれど、踊っているときの身体の芯のようなものがまだ完成されていなくて安定感は他のダンサーと比べると見劣りする。それでも若く踊ることの喜びを一心に踊る姿は好感をもって観客に迎えられた。
 この公演ではさまざまなダンサーの踊りを観ることによって、果たしてダンサーに求められるものは何だろうと考えさせられた。ひとつは技術、ひとつは肉体、ひとつは表現力、ひとつは容姿、そして、何かだと思う。
 日本人のダンサーの踊りをみていると、技術は世界最高峰に近いのだと思う。正確だし安定感もある。しかし、演技力ということになると、イマイチということも少なくない。何かが足りないのだ。
 今宵、見たもので一番面白かったのは、サンフランシスコバレエ学校の生徒のそれだった。

2012年7月22日日曜日@新国立劇場オペラパレス
MONSIEUR IBRAHIM ET LES FLEURS DU CORAN
出演 オマー・シャリフ (Monsieur Ibrahim)
ピエール・ブーランジェ (Momo)
ジルベール・メルキ (Momo's Father)
イザベル・ルノー (Momo's Mother)
ローラ・ナイマルク (Myriam)
イザベル・アジャーニ(The Star)
監督 /脚本 フランソワ・デュペイロン
脚本/エリック=エマニュエル・シュミット

宝物のような小さな映画
観光客では知らないフランスのパリとイスタンブールなどのトルコ。その片隅で暮らす人々の暖かい交流。異文化同志の幸せな邂逅。現実の社会ではなかなか起きないけれども映画ではそういう夢を見せてくれる。名優オマーシャリフが本当にいい味を出している。心が荒んだときにまた見ようと思う。
2012年7月22日
作・演出/名嘉友美
出演者/泉政宏 横手慎太郎 中田麦平 名嘉友美 満間昴平(犬と串)ほか





「若手?劇団に珍しいバランスのよい秀作」
 良かった。初見の劇団で期待をしないのも良かったのかもしれない。まあ、初見なので次回観る機会があった時にも今日のような面白さを感じられるかだけれど。というのも、若手劇団で面白いと思って観始めると、結局前回の変奏曲でしかなかったことが多くて。
 この作品は人間が生きていくこと、人を恋することといった根源的なテーマに寄り添っている。そして、一部の作家のように妙に自分の価値観を押し付けるということもなく、登場人物のさまざまな生き方を提示、それらを肯定しながら物語は進み、ふっと観客の心に入ってくる。美術はシンプルでこの作品にあっている。衣装もお金をかけているわけではないが心を砕いている。台詞は演劇の台詞だし、演劇的な処理や開放感もあってこの作家は非常に演劇的なバランスがいい作品を書くなあと思った。この感覚は演劇、それも劇場でしか味わえないものだ。
 犬と串の満間君は誠実な芝居をしていて好感。ダンス?をする時にもう少しトメがしっかり行くといいんだけどな。 2012年7月21日@王子小劇場

ビゼー / 「カルメン」組曲から
ショーソン / 詩曲 作品25*
ラヴェル / チガーヌ*
サン・サーンス / 交響曲 第3番 ハ短調 作品78

指揮/ジョン・アクセルロッド
ヴァイオリン/レイチェル・コリー・ダルバ*
「初心者にも通も満足させる水準の高い演奏」
 アクセルロッドの指揮は非常に安定感がある。個性がものすごくある演奏ではないが、輪郭をくっきりさせ、聴衆に聞かせたい音楽を分かりやすくデリバーする演奏である。カルメンに始まってサンサーンスの交響曲3番「オルガン付」で終わるフランス音楽の分かりやすい音楽をそろえた、夏のポップスコンサートの様相でありながら、下手に観客に媚びることもないし、こういう名曲をきちんと聞かせる腕前はN響ならではである。

2012年7月20日@NHKホール
金子修介脚本監督
2012年7月7日
監督 マーク・ウェブ
脚本 ジェームス・ヴァンダービルト

アンドリュー・ガーフィールド (Peter Parker / Spider-Man)
エマ・ストーン (Gwen Stacy)
リス・エヴァンス (Dr. Curt Connors / The Lizard)
キャンベル・スコット (Richard Parker)
マーティン・シーン (Ben Parker)
サリー・フィールド (May Parker)
デニス・リアリー (George Stacy)



2012年7月1日@渋谷東宝シネマ
ナビスコカップなんだよな〜

試合結果
浦和レッズ3-0(前半1-0)サンフレッチェ広島
得点者:43分 デスポトビッチ、63分 野田紘史、80分 矢島慎也
入場者数:14,022人



2012年6月27日@埼玉スタジアム2002
振付/ケネス・マクミラン
音楽/ジュール・マスネ
美術/ピーター・ファーマー
指揮/マーティン・イェーツ 東京フィルハーモニー交響楽団
マノン:サラ・ウェッブ
デ・グリュー:コナー・ウォルシュ
レスコー:古川和則




「サラウェッブの完成度の高いダンス、そして、ダンサーを観るにつけ」
 完成度の高い上演であった。僕は音楽が好きなので、どうしてもオーケストラの話になってしまうが、正直いって、このマスネの曲はバレエのための曲であり、単独できいたらきっと退屈だろうと思う。それはきっと演奏している側もそうなのだ。それが、やはり日本でトップのオペラ・バレエオケ、東京フィルハーモニー管弦楽団だけあって、素晴らしい演奏を聴かせる。弦、管楽器、そしてバレエだけにとても大切な打楽器も、見事な水準である。10年前のロイヤルオペラのオケに聞かせたい。踊り手に高い踊りでなくては、音楽に負けてしまうと鼓舞させるほどの演奏だ。今夜のバレエの水準を高めた大きな要因である。
 美術も衣装も特に工夫をこらしたというわけではないが、美しく必要なものは全て揃っている。オペラでも演劇でもないバレエの空間を見事に提示した。それも、舞台転換の早いこと。いろいろと考え抜かれたプロの仕事である。
 さて、踊り手では先ずは客演のヒューストンバレエからのサラウェッブが見事である。技術、そして、プリマに必要な華もあり、人生の中での有頂天亜時期から落ちぶれていく様まで見事な演技である。コナーウォルシュの技術、演技力も高く素晴らしかった。二人のパドトゥなど難易度の高いダンスも危なげなく、きちんと演じながら踊ったのは見事だった。
 そして、Mジェロモンのトレウバエフ、レスコーの古川も良かった。前者は演技がよく、後者は技術があった。古川はもう少し背が高かったらトップダンサーになれたろうに、あの背の高さであの跳躍力のある筋肉をつけた肉体だと、太ももが以上に太く見えてしまってずんぐりむっくりになってしまう。可哀想になあと思ってみていた。ソリストやデミソリストはいいのだが、時々、何かやっつけ仕事のコーラスも観られてそれが残念。5年ほど前には消滅したのかと思ったらひょっこり出てきた。
 新国立劇場のバレエ部門は多くの日本人に役柄を与えようと日替わりのキャストが多い。これが良くない。トップダンサーたちが、しのぎを削って少数の役を奪い合って欲しい。それでないと、きっと客演のダンサーに勝てない。
 つまり、今のような日本人キャストABC+客演みたいなキャスティングではなく、日本人キャストVS外国人キャストでいいのだ。そして、あとは、アンダースタディに泣けばいいのである。そうでないと、もっと殺気立った現場にならない。悪平等主義は芸術の発展にとって最も良くないものだ。
 今回の華は圧倒的にサラウェッブ。ひとりだけ飛び抜けていた。

2012年6月26日@新国立劇場オペラパレス
出演
渥美清 (車寅次郎)倍賞千恵子 (さくら)
淡路恵子 (マダム)下絛正巳 (車竜造)
三崎千恵子 (つね)太宰久雄 (社長)
佐藤蛾次郎 (源公)吉岡秀隆 (満男)
前田吟 (諏訪博)笠智衆 (御前様)
関敬六 (ポンシュウ)イッセー尾形 (馬場)
武野功雄 (巡査)笹野高史 (車掌)
マーチン・ロシュバーガー (ヘイマン)
柄本明 (坂口兵馬)竹下景子 (江上久美子)
監督 山田洋次
脚本 朝間義隆/山田洋次


「男はつらいよ。終わりの始まり」
 平成元年消費税導入元年の年の夏に公開されたシリーズ第41作である。前から観たかったのだが、買ったまま観られなかった。ここでの寅さんは、タコ社長と喧嘩もしないし、竹下景子を愛したとしても自分から積極的にドンドン行くわけでもなくいつもにもまして受け身である。それは映画全体でも言えて、柄本明や、淡路恵子が非常に積極的な演技で攻めるのに対して、渥美さんはどこか違う。
 この作品が最後のお盆映画ということらしい。このあと、寅さん映画は正月のみになる。きっと渥美さんの肉体のことを考えてのことではなかったのだろうか?いろいろのことを考えると、「男はつらいよ」の終わりの始まりだったのかもしれない映画だ。竹下景子に寅さんは惚れるのであるが、竹下の方は寅さんを男してはほとんど意識していない。寂しい恋である。冒頭は松島なんかも写り、最後には関敬六と啖呵をきっての物売りシーンなんかもあるのだが、若い頃の長い啖呵を切るようなところもない。
 この映画、寅さん映画では唯一大型の海外ロケをした映画だ。美しいウィーンの街並をこれほどきちんと映画に取り込んだ映画を私は知らない。きちんと必然性もあって取り込むってのは本当に難しいのだが、それをきちんとやってのけた。
 ここでの柄本明の演技は特筆ものである。ちょっとホモっぽい悩める中年を演じているのだが本当にウマい。山田洋次の偉大なるマンネリを満喫した。きっと山田監督と渥美清さんが一緒に海外に出かけた最後の記録なんだろうと思う。何か胸がジーンとするよ。
 2012年6月25日 DVD
<< 前のページ 次のページ >>
最新記事
(12/25)
(08/05)
(06/30)
(12/16)
(08/21)
(04/10)
(09/25)
(11/30)
(11/18)
(11/03)
(10/04)
(09/19)
(08/28)
(06/25)
(06/10)
(12/30)
(02/21)
(12/31)
(09/28)
(06/09)
(05/12)
(12/31)
(09/08)
(06/02)
(02/09)
プロフィール
HN:
佐藤治彦 Haruhiko SATO
性別:
男性
職業:
演劇ユニット経済とH 主宰
趣味:
海外旅行
自己紹介:
演劇、音楽、ダンス、バレエ、オペラ、ミュージカル、パフォーマンス、美術。全てのパフォーミングアーツとアートを心から愛する佐藤治彦のぎりぎりコメントをお届けします。Haruhiko SATO 日本ペンクラブ会員
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
フリーエリア
最新CM
[08/24 おばりーな]
[02/18 清水 悟]
[02/12 清水 悟]
[10/17 栗原 久美]
[10/16 うさきち]
最新TB
バーコード
ブログ内検索
カウンター
忍者ブログ [PR]